核磁気モーメントを質量数40以上の中性子過剰核を含めた幅広い領域にわたって系統的に決定するために、不安定核のスピン偏極生成手法の確立を目指している。本研究では、真空中、常温かつ低磁場という従来の核スピン偏極生成技術では実現されていない条件下で偏極生成が可能なスピン偏極生成・移行装置の高度化を行った。今回行った高度化は主として、偏極生成により適した励起光源の導入と、それに伴う結晶の温度上昇による偏極生成効率の低下を抑えるための結晶冷却機構の導入などである。これらの改良を行った後に偏極生成試験を実施し、その結果、本研究以前と比較して、偏極度を12.5倍に増大させることに成功した。
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