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2011 年度 実施状況報告書

高ルミノシティLHCに向けた整形電場付ドリフトチューブの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 23540355
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

岩崎 博行  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40151724)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード粒子測定技術 / ミューオン検出器
研究概要

衝突型加速器実験装置のミューオンスペクトロメーターは大面積を覆う必要があるため位置精度をだしつつも安価な測定器が望ましい。例えばATLAS測定器では直径3cmの円筒ドリフトチューブで構成されている。構造が簡単であり大面積を覆うには適しているが、多数の荷電粒子が入射する場合には、円筒状の電場であるため各々の粒子の飛跡点を出すことが難しい。実際、高エネルギーのミューオンからはガンマ線放射が起こることがあり、ミューオン飛跡の近傍に電子・陽電子が付随する事象を無視することができなくなる。 マルチヒット位置を全て検出することにより、この欠点を克服することができる。問題は安価な方法でそれを達成できるかである。簡単な電場整形電極を円筒内に設置することにより、イオン化されて出来た電子が飛跡と垂直方向にのみドリフトするような検出器の開発が本研究の目的である。 高エネルギーのミューオンは物質中でガンマ線を放出するようになるが、この振る舞いをGeant4 シミュレーションプログラムを使い調べた。円筒型ドリフトチューブ群の前に厚さ 1 m の鉄を置き、垂直に高エネルギー(1 TeV ~ 3 TeV)のミューオンを撃ち込んでシャワーの振る舞いを調べた。例えば1 TeV のミューオンが鉄を通過した背後 50cm の面では30cm の距離でも飛跡上の付随ヒット数は1/10 程度あることなどが明らかになってきた。 また、簡単な電場整形電極をもつ円筒の開発では、アルミ押出し成型でプロトタイプのドリフトチューブを製作した。回転方向の位置決めのV字溝付けや、内部電極取り付けのための構造体を高い位置精度で保持する必要性からアルミ肉厚は 1.2 mm となっている。これはアルミ構造体本体で、ここに絶縁体と電極用の金属薄板を取りつける。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高エネルギーのミューオンは物質中でガンマ線を放出する振る舞いをGeant4 シミュレーションプログラムを使い調べた。今後はさらに、ドリフトチューブ近辺での付随粒子の性質を調べる。 ドリフトチューブ本体をアルミ押出成形で製作した。回転方向の位置決めのV字溝付けや、内部電極取り付けのための構造体を高い位置精度で保持する必要性からアルミ肉厚は 当初想定よりも厚い1.2 mm となっている。ここに絶縁体と電極用の金属薄板を取りつけることになる。

今後の研究の推進方策

シミュレーションは引き続きGeant4プログラムを用いて、付随粒子の性質を調べる。ドリフトチューブ本体は平成23年度に試作したものを用い、平成24年度は主にドリフトチューブ内の絶縁体と電極用の金属薄板の試作を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度では、ドリフトチューブ内のエレクトロードの試作を行う。絶縁体部は押し出成形のプラスチックで、電極板を容易に挿入できるような構造である必要がある。これらに50万円を計上した。高電圧試験のために高電圧プローブなどの工具類を約12万円購入する。また、外国での情報収集と発表・報告で35万円を計上している。

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公開日: 2013-07-10  

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