本課題では、過去半世紀にわたり海水温観測の主力であったXBT(投棄式水温深度計)の水中降下速度に与えるプローブ重量の影響を、海上比較試験に基づいて定量化し、同測器の降下運動をモデル化することを通して、歴史的水温観測資料の質的向上に資することを目的とした。本研究の結果、10gの重量差の降下速度への影響は、最も頻用されてきたT7型について約1%であった。これは空中でのプローブ重量の変化率とほぼ比例し、合理的である。この結論をメーカーの品質管理基準に当てはめると、降下速度に与える重量誤差の影響は限定的で、本研究の成果は、近年問題となっているXBTの測器バイアスのサイズに対して一定の上限を与える。
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