超小型ピコ秒レーザー(532 nm,50 microJ,500 ps,1 kHz)を用い,非共鳴多光子過程により分子をイオン化する大気圧多光子イオン化(APMPI)法を高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)用の新たな検出法として開発した.LC-MSで低極性化合物を検出するには真空紫外光を用いた大気圧光イオン化法やコロナ放電を用いた大気圧化学イオン化法があるが,微量分析を行う際には,溶媒や不純物のイオン化による背景イオンが問題であった.環境汚染物質である多環芳香族化合物に対してAPMPI法を用いたところ,試料のみがイオン化されるため背景イオンは現れず,良好な信号/ノイズ比が得られた.
|