研究課題/領域番号 |
23560741
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
真鍋 恒博 東京理科大学, 工学部, 教授 (10084378)
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研究分担者 |
熊谷 亮平 東京理科大学, 工学部, 講師 (20548391)
濱 定史 東京理科大学, 工学部, 助教 (40632477)
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キーワード | 構法計画 / 内装 / 外装 / 下地 |
研究概要 |
本年度は内装下地構法のうち、下地層・仕上層に位置づけられる機能付与材について調査を行った。このうち代表的な事例として防音材料・構法について報告を行う。文献、関連する企業・団体のカタログ・社史等から防音構法・材料に関する記述を収集し、さらに識者へのアンケート調査を行い、変遷の概要をまとめた。 1955年に設立された日本住宅公団による公団住宅では床スラブは構造上の限界である110㎜まで薄くされ、それが民間の集合住宅の手本となっていた。しかし、RC造集合住宅の供給が活発になるにつれ、床スラブ厚の不足から上下階の重量衝撃音問題が顕在化した。ヨーロッパ諸国で遮音床構法として一般的に用いられていた「湿式浮き床構法」が、1970年頃に日本住宅公団により導入され、床衝撃音対策として各種機関で集合住宅に取り入れる試みがなされた。1975年には、工業技術院からの委託に基づいてJIS案「建築物の遮音性能基準」が作成され、このJIS案を目安として床構造の検討が各方面で積極的に行われるようになった。日本建築学会には「遮音基準作成分科会」が設置され、建築物の遮音性能の評価尺度として、空気音の遮音等級D値と床衝撃音の遮音等級L値を含む総合的な評価体系が、1979年12月に制定された。これに基づき、住宅都市整備公団でも住宅性能水準が制定され、1980年度から住戸間界床の重量衝撃音に対する遮音等級はLH-55とされた。1983年頃には、RC造集合住宅のスラブ厚は150mmが標準となり、それ以降もスラブ厚は増加し1995年頃には200mm以上が一般化し、重量軽量衝撃音に対して簡易な2重床にする構法が採用された。 以上のように、固体伝搬音の発生、制御に用いられる防音構法の変遷を把握した。部位別の調査にとどまったが、平成25年度はこれらの研究結果を踏まえ、部位間の伝搬抑制を含めた調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は順調に推移しているといえる。昨年度の研究により、内装下地材料・構法に関する社史・業界史、社内資料、各種雑誌、構法に 関する書籍等の調査、関連企業や団体への調査を行い、現状用いられている内装下地材料を把握している。本年度は、内装下地構法のうち、下地層・仕上層に位置づけられる機能付与材のうち、代表的な事例として防音材料・構法について調査を行った。これにより、固体伝搬音の発生、制御に用いられる防音構法の変遷を把握した。部位別の調査にとどまったが、平成25年度はこれらの研究結果を踏まえ、部位間の伝搬抑制を含めた調査を行う予定である。また最終年度となるため、これまでの研究成果を基に、近代以降、現代に至るまての我か国における「内装下地材料・構法」の変遷の全体像を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度、24年度は内装下地材についての各部位毎の材料・構法の概要把握と分類、内外装製品 の現状の概要調査を行った。最終年度となる平成25年度は23年度、24年度の成果をもとに以下の分析を加えて成果とする。 テータ処理方法には、次の3つの観点を用いる。ます、その部品・材料にこれまでにどのような種類の製品があったか(製品種)、そして個々の製品の持つ材質・形状なとの観点(構法の属性)が時代を経るごとに(時間)どのように変化してきたか、ということである。こ の変遷の全体像の概念は図3の様に3次元マトリクスで表現てきる。 作成したテータヘースを各種の分析観点から分析し、製品の変化や各時代に求められた機能を把握し、社会背景等との比較考察を行う 。分析作業において、テータヘースで行う操作は、具体的には以下の通りである。 1時間軸以外の製品種と構法の属性に注目すれは、とのような製品か存在したかをその属性(材料・形状等)別に示す製品一覧表になる 。また、2製品の持つ属性の軸を無視すれは、時間軸上の部品の種類ことの消長を現わす系統図として表わすことかできる。3製品種の軸を無視すれは、属性毎の変遷かあらわされ、分野ことの技術の発展を追うことかできる。 この他、既往研究を含めてこれまで明らかにされた内外装材料・構法の変遷との比較考察も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は、24年度と同様に資料のデジタル化の費用と資料整理補助の人件費を計画している。その他に大型の機器や資材等については、本研究においては必要としていないため、計画しない。ヒアリングや現地視察を2回程度計画している。また、研究成果について学会発表することを計画している。
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