タンパク質翻訳開始因子複合体は、生物の基本的生命活動にとって重要なだけでなく、新規抗生物質・薬剤開発のターゲットとしても近年注目を集めている。本研究が特に注目しているのは、リボソームの翻訳開始地点の認識から、実際に翻訳が開始される間の情報伝達機構である。本研究ではその分子機構を明らかにするために、NMR法による翻訳開始因子eIF1の立体構造決定、及びeIF1におけるeIF3c、eIF2及びeIF5の相互作用部位の同定を行った。また酵母を用いた遺伝的解析及び生化学的解析による結果をもとに、これまで漠然と推定されていたeIFを中心とした翻訳開始機構の詳細を説明できるようになった。
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