本研究ではクロマツ苗に、強い水ストレスとして浸水・乾燥処理を与え、それらの葉の蒸散速度や窒素N量、炭素安定同位体比δ13Cなどを無処理の苗木の葉と比較し、クロマツの衰退原因を評価した。 乾燥処理した苗の葉のδ13Cは無処理のものと比較して有意に高くなった。これは葉から水分を逃がさないために気孔を閉じていることを意味する。一方、浸水処理した苗の蒸散速度は無処理の苗より大きく、δ13Cは有意な差が認められなかった。また死亡個体も多くなった。これらの結果から、浸水処理された苗は強い水ストレスを受けているにも関わらず、気孔が開き気味のために蒸散によって葉から水分が失わて衰退することが明らかになった。
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