種子は高等植物の主な繁殖手段であり、移動手段をもたない植物が生育に適さない環境を回避するのに秀でた手法である。種子は将来の植物体となる胚を含んでいるが、過去の研究において乾燥種子の細胞核に凝集するヌクレオソ-ムや特殊なクロマチン構造を見出しており、これらの特徴は吸水後速やかに消失して脱水などに対する環境ストレス耐性も失われるので、植物種子にはゲノム機能を安定に保持する特別なしくみがあると想定した。シロイヌナズナ種子よりクロマチン成分を調整して高感度質量分析を実施したところ、先行する学術情報を支持発展させる特徴的な種子機能の制御因子や特殊なタンパク質修飾反応を検出することができた。
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