研究課題
本研究では、循環調節ペプチドを包括的に制御する治療アプローチを、エンドセリン変換酵素阻害をモデルとして検証することを目的とした。当該年度は、肺動脈性肺高血圧症の新たなマウスモデルを確立し、またエンドセリン変換酵素遺伝子欠損マウスを用いた肺高血圧症におけるエンドセリン変換酵素阻害の可能性について検証した。肺動脈性肺高血圧症のマウスモデルはこれまでは低酸素によって誘導されたものが広く使用されていたが、これはヒトの肺動脈性肺高血圧症の病態を反映していないことが問題であった。今回私たちは、VEGF受容体拮抗薬と低酸素を組み合わせ、様々なマウスの系統および週齢を検討した結果、マウスでヒトに類似したモデルを確立することに成功した。この結果は国際学会で発表されるとともに、国際一流誌に報告された。またエンドセリン変換酵素遺伝子欠損マウスは肺高血圧症の発症に抵抗を示すことを以前に見いだしていたが、その分子メカニズムがエンドセリン変換酵素によるブラジキニンの分解抑制であることをブラジキニン受容体拮抗薬を用いて確認した。これらの成果は、国際学会で発表されるとともに、現在論文作成中である。以上より、エンドセリン変換酵素を阻害することはエンドセリン系の活性化を抑制すると同時にブラジキニン系の活性化を引き起こすことが示され、肺高血圧症においてはエンドセリン変換酵素阻害薬が有望な治療薬になることが示唆された。昨年度の肺線維症におけるエンドセリン変換酵素阻害の有用性ともあわせ、これらの循環ペプチダーゼ阻害というアプローチは各種疾患におけるユニークな治療法を提供する可能性がある。
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