研究課題/領域番号 |
23590207
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
池田 賢二 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (10434812)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胎盤関門 / 胎盤透過 / トロホブラスト / BCRP / 胎盤 / DJEG / JEG-3 / 透過モデル |
研究概要 |
妊娠時薬物療法における胎児安全性の確保を目的とする情報蓄積の一環として、申請者はより簡便かつ、より in vivoを反映したin vitro包括的胎盤薬物透過評価モデルを確立することに取り組んでいる。薬物の胎盤関門透過を評価するためには、細胞間隙透過性がシンシチオトロホブラスト層に類似しており、かつシンシチオトロホブラスト層に発現しているトランスポーター群の機能を含めた経細胞輸送を反映できるモデルを作製する必要がある。これまでに、胎盤関門の主要層であるシンシチオトロホブラスト層に類似したモデル細胞層の構築に向けて細胞株およびその培養環境を検討してきた。まず、細胞間隙透過と逆相関する経上皮電気抵抗値(TEER値)の上昇、およびシンシチオトロホブラスト様分化指標のmRNA発現を確認することで、CS-C®培地によって培養したJEG-3細胞層(DJEG)が、胎盤関門モデルとして現状では最適な細胞層であることを見いだしている。mRNA発現レベルの検討では、シンシチオトロホブラスト層で最も高発現である排出トランスポーターbreast cancer resistance protein (BCRP)が、DJEGにおいても高発現であることが認められ、さらに蛋白発現レベルにおいても同様に発現誘導が認められた。また、BCRPに比して低レベルながらもシンシチオトロホブラスト層での発現が認められている、multidrug resistance-associated proteins (MRP)1-MRP8についても、DJEGにおける発現が認められ、その発現プロファイルは既報のシンシチオトロホブラストに類似していた。これらの結果からDJEG細胞層モデルは、胎盤関門モデル確立の第一段階として、単純拡散による物質輸送、および排出トランスポーター群を介した経細胞輸送の評価も出来る可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、胎盤関門モデルの構築に向けて細胞株と培養環境の検討によって、生体内をできる限り反映できるモデルとなる可能性を検討してきた。その結果DJEG細胞層は、ホルモン分泌、転写因子の発現レベル、排出トランスポーターの発現プロファイル、タイトジャンクションの形成能、および細胞融合能について、胎盤関門の主要層であるシンシチオトロホブラスト層の細胞機能に極めて類似していることが判明した。これらは、当該年度の目的に対する結果をおおむね満たしており、順調に進展していると言える。しかしながら、蛋白発現レベルの解析に至っていないいくつかのシンシチオトロホブラスト分化指標に関する検討を残しており、当初の計画以上に進展しているとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
以降、細胞特性としてシンシチオトロホブラスト類似性が認められたDJEG細胞層について、それぞれの細胞特性の機能評価を行う。主に、トランスポーター基質薬物を用いてDJEGの経細胞輸送に関わる細胞機能を評価し、胎盤移行性の反映度を検証することが平成24年度の目的となる。また、経細胞輸送機能の胎盤関門モデルとしての妥当性が評価された後は、臍帯血/母体血の血中濃度比などの臨床データを有する医薬品を用いて、本モデルによる透過性を解析し、in vivo相関性を解析する手段の検討に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本DJEGモデル細胞層のシンシチオトロホブラスト類似性に関して、分化指標の検討を進めている中、ひとつの指標についてmRNA発現解析から機能解析までを行うよりも、より広く類似性の検討を行うことを優先したため、蛋白発現レベル解析に残件が発生している。次年度使用額は、主にこの蛋白発現レベルの解析に用いる抗体試薬の購入に充てる。その後、当初の計画に則して、平成24年度研究費は、トランスポーター群の機能評価を行うための機器、試薬の購入に充てる。これによって平成24年度で、本DJEGモデル細胞層の胎盤関門モデルを確立するものとする。
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