研究課題/領域番号 |
23590334
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田村 淳 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00362525)
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キーワード | クローディン / タイトジャンクション / ノックアウトマウス / 腸管吸収上皮 / 水の透過性 |
研究概要 |
グルコースやアミノ酸の吸収など、生体に必須な栄養素の多くが上皮細胞のアピカル側と細胞質内のナトリウムの濃度勾配を駆動力として体内に吸収される。こうした細胞内外のイオン濃度勾配を利用した生体での輸送システムは、腸管におけるグルコースやアミノ酸吸収のほかにも腸管におけるビリルビン吸収など多種類存在するが、イオン濃度の勾配が崩れた場合の生体に対する影響に関する、基礎的解析がほとんどない。 本研究では、申請者が最近解析を進めてきた、腸管内イオンホメオスタシスが崩れたマウスであるクローディン15ノックアウトマウスを中心に、特に「腸管内イオン環境の変化」と「グルコースやアミノ酸の他にカルシウム、ビタミンや胆汁酸などの微量物質も含む栄養吸収」について検討し、タイトジャンクションで規定される生体イオン環境ホメオスタシスの生体機能における重要性について検討した上で、さらにその応用を目指す。 平成24年度には、クローディン15が、腸管吸収上皮で担う水の透過路としての働きを中心に解析を進めてきた。小腸には、絨毛とクリプトがあり、絨毛にはクローディン15が、クリプトにはクローディン2が多く発現する。これらはいずれも、イオン透過性の高いクローディンであり、水の透過性を担う可能性も示唆される。一方、絨毛は栄養の吸収に、クリプトは粘液の分泌に基本的に関わり、それぞれの持つ機能が異なるとされる。クローディン2と15はともに、類似した機能を持つと考えられるが、どうして、発現部位の住み分けをしているかを理解する一助になるもとを考えられる。 本研究は、現在、進行中であるが、摘出腸管でのグルコース投与、ホルスコリン投与により、水の出納を定量化できる系がほぼ確立できた。 平成25年度では、さらに本研究を推進していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小腸では、生体に必須な栄養素の多くが腸管上皮細胞内外のナトリウム濃度勾配を駆動力として体内に吸収される。本研究では、申請者が最近数年間にわたり解析を進めてきた、腸管の上皮細胞間の透過性異常による腸管内イオンホメオスタシスが崩れたマウスであるクローディン15ノックアウトマウスを中心に、特に「腸管内イオン環境の変化」と「グルコースやアミノ酸の他にカルシウム、ビタミンや胆汁酸などの微量物質も含む栄養吸収」について検討し、タイトジャンクションで規定される生体イオン環境ホメオスタシスの生体機能における重要性について検討した上で、さらにその応用を目指すものである。ナトリウムを始めとする一価カチオンの透過性については、培養細胞の実験を始めとして複数の研究室からの報告があるが、上皮細胞間を透過する水の制御機構については、特に、クローディンとの関連では十分ではない。 そこで、平成24年度には、クローディン15が、腸管吸収上皮で担う水の透過路としての働きを中心に解析を進めてきた。小腸には、絨毛とクリプトがあり、絨毛にはクローディン15が、クリプトにはクローディン2が多く発現する。これらはいずれも、イオン透過性の高いクローディンであり、水の透過性を担う可能性も示唆される。一方、絨毛は栄養の吸収に、クリプトは粘液の分泌に基本的に関わり、それぞれの持つ機能が異なるとされる。クローディン2と15はともに、類似した機能を持つと考えられるが、どうして、発現部位の住み分けをしているかを理解する一助になるもとを考えられる。 本研究は、現在進行中であるが、摘出腸管でのグルコース投与、ホルスコリン投与により、水の出納を定量化できる系がほぼ確立できた。本実験系は、新規性があるものである。
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今後の研究の推進方策 |
グルコースやアミノ酸の吸収など、生体に必須な栄養素の多くが上皮細胞のアピカル側と細胞質内のナトリウムの濃度勾配を駆動力として体内に吸収される。こうした細胞内外のイオン濃度勾配を利用した生体での輸送システムは、腸管におけるグルコースやアミノ酸吸収のほかにも腸管におけるビリルビン吸収など多種類存在するが、イオン濃度の勾配が崩れた場合の生体に対する影響に関する、基礎的解析がほとんどない。本研究では、申請者が最近解析を進めてきた、腸管内イオンホメオスタシスが崩れたマウスであるクローディン15ノックアウトマウスを中心に、特に「腸管内イオン環境の変化」と「グルコースやアミノ酸の他にカルシウム、ビタミンや胆汁酸などの微量物質も含む栄養吸収」についての検討を目指すものである。特に、平成25年度では、平成24年度に進めてきた、クローディン15が、腸管吸収上皮で担う水の透過路としての働きを中心に解析をさらに進めることを目指す。小腸には、絨毛とクリプトがあり、絨毛にはクローディン15が、クリプトにはクローディン2が多く発現する。これらはいずれも、イオン透過性の高いクローディンである。クローディン2については、培養細胞レベルの実験から水の透過性を担う可能性も示唆される。一方、絨毛は栄養の吸収に、クリプトは粘液の分泌に基本的に関わり、それぞれの持つ機能が異なるとされる。クローディン2と15はともに、類似した機能を持つと考えられるが、水出納の解析は、どうしてほぼ類似の機能を持つと考えられるクローディン2と15が、発現部位の住み分けをしているかを理解する一助になる可能性がある。本研究は、現在進行中であるが、摘出腸管でのグルコース投与、ホルスコリン投与により、水の出納を定量化できる系がほぼ確立できた。摂食時の腸管内浸透圧変化も含め、クローディンの水経路としての機能解析を中心に進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は本申請の最終年度であるので、研究目標の達成を目指して、研究の発展と収束を行う。最終年度に繰り越しとなる42万円は、特に平成24年度で準備を進めた腸管における水の透過性実験などに用いる。
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