研究課題/領域番号 |
23590585
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 勇一郎 群馬大学, 医学部, 准教授 (30344922)
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キーワード | RFID / 医療安全 / 病院経営 |
研究概要 |
実験は群馬大学附属病院の設備機械室で行った。実際の現場を想定し、四方のうち二方を壁面とした鉄筋コンクリート構造の大空間で試験を行った。主な試験項目は、距離と反射の影響、RFタグとアンテナの向きの影響、RFタグを貼り付ける材質の影響、RFタグの重なりの影響であり、いずれも病院内での適用を考えた評価を行った。 使用したのは2005年4月から国内で使用が認められたUHF周波数帯(952~954MHz)を使用する無線IDタグシステムである。今回使用したシステムでは、床面から90センチ以下のエリアでRFタグの反応場所にばらつきが生じ、床面から50センチ以下のエリアでは殆ど反応しなった。次に、RFタグを貼り付ける場所が水分を多く含むものや金属だと反応しなかった。そして最後に、アンテナに対するタグの向きによって、同じ場所でも反応しなくなる場合があった。 カードホルダにタグを入れ、首からぶらさげた状態でゲートを通過した。R/Wのアンテナは、1枚の場合と2枚でアンテナの間隔を0cm、100cm、150cmの場合で評価した。読み取り率:100%であった。機器類、備品類へタグ装着時の評価では、R/Wのアンテナ2枚でアンテナの間隔を150cmの場合で評価した。読み取り率:80~100%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RFタグを貼る場所の材質が金属であれば金属対策品のRFタグが必要である。また、薬剤は水分を含むもの(輸液容器など)が多く、水分対策品のRFタグが必要となる。医療スタッフや患者にRFタグを装着した場合、医療スタッフの姿勢や患者がベッドに寝ている姿勢、身長の低い子供ではRFタグが反応せず、不在と判断される可能性がある。 RFタグの性能改良に伴い、医療現場における安全や経営コスト最適化が大きく進展する可能性はある。そのためには、医療安全や経営コスト最適に寄与するアプリケーションの開発とタグの機能向上が重要である。
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今後の研究の推進方策 |
アンテナとRFタグの位置関係がRFタグの応答に影響を与えることがわかった。リーダのアンテナとRFタグのアンテナが平行になるように配置したときに最も感度が良くなる。RFタグを医療スタッフや患者に装着する場合、タグの向きを一定方向に固定することはできない。体の動きによって逐次RFタグの位置や角度が変化するからである。RFタグの性能改良に伴い、医療現場における安全や経営コスト最適化が大きく進展する可能性はある。
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次年度の研究費の使用計画 |
アクティブ型ZigBeeで検討した結果を、パッシブ型の新しいRFIDを用いて群馬大学医学部附属病院循環器内科病棟にて検討する。パッシブ型タグによる追跡が可能となれが、電池交換が不要で、半永久的にデータを集積していくことが可能となる。病棟で、医師・看護師を中心とする複数の病棟スタッフに同意をいただいた上で、無線タグを取り付け、実験期間中24時間の位置・氏名・時刻のデータ収集を行う。利用箇所を固定できない機器類(心電計、車いす、カート等)にも無線タグを取り付けて、同様に実験を行う。アンテナは、病室とナースステーションなど、患者と関わる業務に従事する場所に取り付る。
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