診療の中で、医師は患者の抱えている問題を抽出し、その問題に対する解決を的確に患者へ伝えなければならない。そのため医師にとって、問題解決発見能力は必須の能力である。この能力を獲得するのにPBLテュートリアルは適していると考えている。PBLテュートリアルでは学習者が主導になって各セッションの学習目標を設定し、次のセッションまでにその学習目標に向かって、ひとりで学習する。そのため学習者主導型学習のモデルとして利用可能である。本解析では、医学部のPBLテュートリアルの中で問題発見解決能力を規定する因子を検討する。これにより学習者主導型学習では、どのような因子が問題発見解決能力を習得するのに影響を与えているか明らかにする 「東京女子医科大学における医学教育の成果に関するアンケート調査」回答者541名の内、「患者の問題の発見と解決ができるようになったか?」の問いに対して「どちらとも言えない」と回答した者を除いた317名を対象とした。問題発見解決が「できた」とした者と、「できなかった」とした者に対して、大学時代に習得出来た項目について比較した。 多面的な思考、医師とのコミュニケーション、仮説検証能力を「習得できた」と回答した群は、「問題発見解決ができた」と回答した郡に影響を及ぼしている。討論力、学体系による学習は関与しない。 問題解決能力の構成能力として、多面的思考力、コミュニケーション能力、仮説検証能力があげられる。これは問題を発見、調査、解決の流れに沿った能力と考えられる。多面的な思考により、問題をより多く集め、その問題に対して順位付けを行う事で、患者の中の問題点を的確にとられる事ができる。さらにコミュニケーション能力により、他の医師やコメディカルとのコミュニケーションによって、より詳細な調査が可能になる。最後に仮説検証能力は、調査した資料に対して、仮説を立て、検証することに必要である。
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