研究課題
常染色体優性遺伝形式をとる独立した日本人家系患者からPS1遺伝子6変異7症例(T99A, H131R, H163R, M233L, L219R, V272A)のPS1変異ADを同定し、CSFのptau(199, 181)の軽度増加、Aβ1-42およびAβ1-40、Aβ1-38低下を見出し報告した(Ikeda M et al. Amyloid 2013(Impact Factor 4.436))。発症後のCSF Aβ1-42は横ばいを示すのに対し、CSF Aβ1-40とAβ1-38は漸減することが観察された(Ikeda M et al. Amyloid 2013)。この結果は、γ-セクレターゼの作用部位での活性がPS1変異ADと孤発性ADで異なることと、PS1ADにおけるCSF・Aβ蛋白の経時的代謝プロセスが変化を示す重要な知見である。また若年性発症のCAA(cerebral amyloid angiopathy)関連脳症の症例に関する画像変化と脳症悪化に関連してCSFのAβ1-42およびAβ1-40の低下を明らかにした(Ikeda M et al. Amyloid 2012)。本症例はApoE遺伝子ε4ホモ接合体であり、経過中に行われた脳生検では、大脳皮質に多数の老人斑と脳血管アミロイドを認め、Aβ蓄積と脳症との関係を裏付けた。これとは別に、臨床的にADと診断され、CSF ptau-181低下/Aβ1-42増加を認め、脳内出血の発症後に11C PiB-PETにてPiB集積を確認したADの3症例を報告した(池田将樹他.第4回日本血管性認知症研究会発表)。2症例はPiB集積が強い部位での脳出血がみられ、1症例はPiBの集積がそれほど強くない部位で観察され症例間の差異が認められた。最近、我々は若年発症で顕著な前頭葉症候(アパシー、無言、行動減少)、記憶障害、眼振、パーキンソニズムを呈し、MRIにて著明な前頭葉・側頭葉萎縮を示すFTDPの1家系の症例においてタウ遺伝子P301L変異を確認した(本邦で4番目の報告例.Ikeda M et al. preparation)。
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