研究課題/領域番号 |
23591379
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
大西 一功 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (80252170)
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研究分担者 |
藤江 三千男 浜松医科大学, 実験実習機器センター, 技術専門職員 (90397373)
柴田 清 浜松医科大学, 実験実習機器センター, 技術専門職員 (80397372)
中村 悟己 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (20377740)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 白血病幹細胞 / 嫌気性代謝 / メタボローム解析 / 代謝阻害剤 |
研究概要 |
キャピラリー電気泳動質量分析装置によるメタボローム解析により細胞内でのエネルギー代謝を網羅的に解析する技術が確立され、癌細胞におけるメタボローム解析から代謝経路を阻害する治療開発が、可能になってきています。我々は、白血病幹細胞のエネルギー代謝を独創的なメタボロミクス解析技術により解析し、エネルギー代謝から白血病幹細胞特異的な代謝経路を同定し、新たな治療標的の同定、治療薬剤の開発を行うことを目的とし、白血病幹/前駆細胞として白血病患者由来のALDHhi/CD34+細胞をFACSを用いて分離し、CE-MS(capillary electrophoresis-mass spectrometry)をもちいてエネルギー代謝に関与する物質群の一斉定量によるメタボローム解析を行った。その中で、嫌気的解糖系に関与するヘキソキナーゼ(HK)、ホスホフルクトキナーゼ1、2(PFK1、2)、及びピルビン酸キナーゼ(PK)が白血病患者由来ALDHhi/CD34+細胞において異常に活性化していることが明らかとなり、これらを阻害することによりALDHhi/CD34+細胞からのコロニー形成能が著しく抑制された。これらの結果から、HK、PFK1、2、PKの抑制が白血病癌幹細胞を根絶する可能性が示唆された。正常造血幹細胞においてはHK、PFK1、2、PKの抑制によりわずかにコロニー形成が抑制されたのみであった。以上の結果から、白血病幹細胞特異的代謝阻害による白血病幹細胞根絶の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究計画・方法について、(1)慢性白血病及び急性白血患者由来の単核球を採取。(2)ALDHhi cell分画の分離。(3)分離採取ALDHhi cells の Metabolite Extraction。(4)白血病由来ALDHhi cellsと健常人由来ALDHhi cellsのメタボローム解析。(5)メタボローム解析から得られた白血病幹細胞におけるエネルギー代謝経路の同定。を行う予定でした。 本研究では、骨髄細胞中に含まれる、正常造血幹細胞や白血病幹細胞は少数であり、細胞数を要する解析においては、非常に重要な解決すべき問題点でありました。その問題点をクリアするために、幹細胞を含む前駆細胞の集団としてALDHhi分画を採取分離することで、細胞数を集められ、代謝解析を行うことが可能となりました。正常人と白血病患者由来のALDHhi細胞分画については現在、それぞれ3例の解析を行うことができています。正常ALDHhi細胞分画と白血病ALDHhi細胞分画でのメタボローム解析結果も少数例ではありますが、解析し、両者の代謝経路の相違をおおまかにつかめるところまできました。今年度の研究計画としてはほぼ予定通りに達成することができていると考えています。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降の研究計画・方法についてメタボローム解析結果に基づくエネルギー代謝性制御による白血病増殖制御。 本研究結果から得られた白血病幹細胞における特異的な代謝経路に基づき、代謝経路を阻害あるいは遮断することによる白血病幹細胞の増殖制御を可能にする治療法を確立することを目指していきたいと考えます。(1)白血病由来ALDHhi cellsと健常人由来ALDHhi cellsの細胞障害評価:同定された代謝経路の阻害剤を添加することによる白血病由来ALDHhi cellsと健常人由来ALDHhi cells のコロニー形成能を評価する。代謝経路阻害剤としては、既存の化合物の中から検索していく。また、既存の化合物が存在しない場合は、標的蛋白質に対するドッキングシュミレーション等を行うことにより、化合物合成を行っていく予定です。この場合は、新たな化合物合成と新規抗がん剤物質生成も並行して行う予定です。(2)白血病幹細胞の分離と白血病幹細胞移植実験:フローサイトメトリー解析によりCD34+CD38-CD123+CLL-1+CD90-CD117-を示す表面形質をもつ白血病幹細胞を免疫不全マウス(NOD/SCIDヌードマウス)へ移植することにより、再現性のある白血病発症の確認を行い、代謝経路阻害剤投与による白血病発症抑制効果を生存率により評価する。(3) 正常造血幹細胞への細胞障害活性の評価 (4)新規化合物の探索:エネルギー代謝経路における標的酵素蛋白質を同定することにより、その蛋白質を特異的に阻害する物質、つまり、白血病幹細胞の代謝システムのキーとなる酵素を選択的に阻害する化合物を合成することで副作用がなく、治療効果の高い抗がん剤の実現を目指したいと考えています。また、正常、白血病幹細胞のメタボ―ローム解析の症例数を増やして検討することも継続していく予定です。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)物品費:1) RT-PCR関連の試薬・物品、2)遺伝子導入関連の物品・試薬、3)DNAアレイ関連試薬、物品、4)アポトーシス実験関連、5)Western blot解析関連試薬・物品、6)細胞培養関連試薬、7)遺伝子クローニング関連試薬、8)細胞増殖抑制実験関連試薬。9)メタボローム解析関連試薬などを購入予定です。 (2)旅費:研究成果については血液学会、分子生物学会、日本癌学会、米国血液学会、米国癌学会、米国臨床癌学会等の学会で発表予定であり、そのための旅費として使用する予定です。また、その他研究会への参加や研究打ち合わせのための旅費として使用する予定です。(3)謝金・人件費など:メタボローム解析などを行っていただくための謝金として支出させていただく予定です。
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