強迫性障害の病態には、長期的には不利な行動である強迫行動を不安の解消という短期的な報酬に基づき選択してしまうという行動選択における衝動性が関与していると考えられており、その神経基盤としては皮質線条体回路とセロトニン神経系が関連していることが示唆されている。本研究では機能的MRIにより測定した報酬課題遂行中の脳活動を数理モデルにより解析した。強迫性障害患者では、短期の報酬予測に関連する脳領域が腹側線条体から背側にかけて拡大しており、健常者と比較して有意に強いことが明らかになった。強迫性障害患者において長期的には不利になる強迫行動が維持されるメカニズムに関連していると推測された。
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