研究課題/領域番号 |
23591824
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 守男 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50154109)
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研究分担者 |
河合 信行 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90405423)
生駒 顕 和歌山県立医科大学, 医学部, その他 (60458065)
園村 哲郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60264892)
南口 博紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90364091)
中井 資貴 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30464671)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 抗癌剤 / 溶解型ゼラチン / マイクロスフェア / 徐放性 |
研究概要 |
溶解型ゼラチンマイクロスクエアの作成が遅延しており、本年は、その原料となる溶解型ゼラチンスポンジの抗癌剤吸着効果とその徐放性をみる正常豚肝動脈を用いた動物実験および正常豚の脾動脈を用いた溶解型ゼラチンスポンジの塞栓効果およびその安全性をみる実験を行うことに大半を費やした。つまり、抗癌剤(シスプラチン)を正常豚肝動脈から持続動注する群、および約2時間で溶解する溶解型ゼラチンスポンジにシスプラチンを吸着させ持続動注する群、約6時間で溶解する溶解型ゼラチンスポンジにシスプラチンを吸着させ持続動注する群で動物実験を行い、持続動注群に比し、後2者の持続動注群で、肝静脈血中のPt濃度を長時間維持することが判明した。また、従来型ゼラチンスポンジ(肝細胞癌に対して動脈塞栓術を行う際に通常用いられ、約1-2週間で溶解する)で豚脾動脈を塞栓する群と溶解型ゼラチンスポンジ(約1時間で溶解する)で塞栓する群でその組織障害を比較した結果、後者での塞栓で有意に組織障害が少なかった。このことより、溶解型ゼラチンで塞栓する際、標的臓器の正常組織への障害はできるだけ少なくなり、標的腫瘍の虚血性変化が得られる可能性が判明した。 以上、溶解型ゼラチンマイクロスクエアが完成し、同様の実験を行っても、抗癌剤の徐放効果および安全性が得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災の影響もあり、溶溶解型ゼラチンマイクロスクエア作成を協力する企業での作成が遅延しているためである。
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今後の研究の推進方策 |
溶解型ゼラチンマイクロスクエアの作成が遅延するようであれば、溶解型ゼラチンでの徐放性効果をより確実なものとするため、肝癌モデルを用いて同様の実験を施行することを検討する。また、肝癌豚モデルでも同様の組織障害が得られるか確認する必要があり、このことも、肝癌豚モデルを用いて同様の実験を予定する。さらに、肝癌破裂などの出血例においても、同様の止血効果および塞栓効果、組織障害に関する安全性が得られるかを確認する実験も予定する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
溶解型ゼラチンマイクロスクエアの作成が可能となれば、前年度予定していた基礎的実験、つまり(1)溶解型ゼラチンマイクロスクエアの作成における『微小管の管径』と『粒子の大きさ』の関係を求め、更にマイクロレベルの大きさの均等性を評価する。すなわちRM-gelatin(50kD)溶液を、130℃溶媒中に各サイズの微小管 (微小管径は50μm、150μm、250μm)から、各速度(0.5ml/秒、1.0 ml/秒、2.0 ml/秒)にて注入しゼラチンマイクロスクエアを作成する。作成された粒子(各100 粒)を50 倍ルーペにて撮影し、その形状とサイズの均一性とばらつきについてを評価する。(2)溶解型ゼラチンマイクロスクエアに抗癌剤(シスプラチン、エピルビシン、MMC、5FU)の等電点を利用して組み込み、その標識率(吸着率)を求める。(3)溶解型ゼラチンマイクロスクエア作製における『溶媒温度および混和時間』と『溶解時間』との相関を求める。すなわち溶媒温度を140℃、135℃、130℃、120℃、100℃とし、各径の微小管(50μm、250μm)で作成されたゼラチンマイクロスクエアの試験管内(生理食塩水、25℃、振盪下)での各々50 粒の溶解時間を測定し、『溶媒温度』と作製された製剤のゼラチン粒子の『溶解時間』との相関を求める。(4)溶解型ゼラチンマイクロスクエアの『溶解』と『薬剤の徐放』の関係を求める、以上を行う。もし、溶解型ゼラチンマイクロスクエアの作成が遅延するようであれば、肝癌豚モデルを用いた溶解型ゼラチンスポンジの抗癌剤徐放をみる実験、あるいは、出血モデルにおける溶解型ゼラチンスポンジの組織障害をみる実験を行う。
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