研究概要 |
テーラーメイド型がんペプチドワクチンによる乳癌術後及び治療抵抗性の転移性乳がんの臨床試験(PhaseII)が実施進行中で、治療後の患者体内液性と細胞性免疫の変化について検討した。HLA type(HLA-A2, A3, A11, A24, A26, A31, A33のいずれか)を一致した進行乳癌及び術後補助療法として計82例に対し、治療前に血清抗ペプチド抗体価を測定した後、31種類ペプチドワクチン(PV)の中から抗体反応が最も強いPVを選択して1-2週毎に1回の皮下注射を行った。1,2コース後のぺプチド抗体価をELISA法、CTL responseをELISPOT法により免疫学的に評価した。全患者において重複例を含め、HLA-A24+:55(67.9%); -A2+:23(28.4%); -A26+:12(14.8%);-A3/31/33/11:31例(38.3%)で、31種類PVの中Lck-488(11.4%),Lck-486(10.4%),SALT-2(9.2%)は最も高頻度に使用された。 投与後の抗体価上昇例とCTL反応増強例はそれぞれ70/82(84%)と33/82(40.2%)であった。 治療前特異的IgG抗体価は315.5+52.8 FIUに対し、1と2コース投与後は2589.0+515.5(p<0.0001)と35740.4 + 13345.5 (p<0.0001)、投与前CTL数は16.9 + 5.41コース後は110+21.5(p=0.0097)と有意に増加した(p=0.0025)。組織学的染色では腫瘍組織にCD8+T細胞浸潤を認めた。 本試験で使用した31種類のPVはすべてのHLA typeの乳癌患者に対応し、がんペプチドワクチン療法により患者体内液性、細胞性免疫が増強がされ、組織学的の効果も認めた。 臨床試験は尚進行中で、将来の臨床応用は期待される。
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