研究課題/領域番号 |
23592061
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三好 新一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00190827)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30397880)
宗 淳一 岡山大学, 大学病院, 助教 (90559890)
佃 和憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (20346430)
浅野 博昭 岡山大学, 大学病院, 助教 (70534775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 原発性肺癌 / マイクロRNA |
研究概要 |
悪性腫瘍においてマイクロRNA (以下、miRNA) の異常が注目されている。miRNAはRNA干渉により複数のタンパク質の発現を抑制する。原発性肺がんは様々な病態の解明や新しい治療法の研究が行われているにもかかわらず、がんによる死因の第一位であり、さらなる病態の解明・新しい治療法の確立が急がれる。本研究の目的は、原発性肺がんにおけるmiRNA異常を解析し、その病態の解明と新しい治療法の開発を目指すことである。本研究では、原発性肺がん細胞株、臨床検体においてDNAのメチル化により発現が抑制されているmiRNAを同定する。同定されたmiRNAを原発性肺がん細胞株に遺伝子導入し、miRNA導入の効果・機能(抗腫瘍効果、標的メッセンジャー RNA、細胞周期等)を解析し、抗腫瘍効果とともに病態への関与を解明する。マウスモデルにおいてもmiRNAの抗腫瘍効果を検討し、ヒトへの臨床応用の可能性を探索する。3年間の研究期間内で以下の項目を検討する。# 1. 原発性肺がんにおいてメチル化異常、発現異常を示すmiRNAの同定。# 2. 該当miRNAの原発性肺がん細胞株に対する抗腫瘍効果の検討(in vitro)。# 3. 該当miRNAの機能解析と原発性肺がんの病態の解析。# 4. 原発性肺がんマウスモデルでの抗腫瘍効果の検討 (in vivo)。初年度として、#1,2の検討を行った。これまでmiRNA-34b/cのメチル化が小細胞肺癌(細胞株・肺癌)において比較的高いことを見出しており、miR-34b/cの抗腫瘍効果を見るために、アデノウイルスベクターにmiR-34bを組み込んでおり、アデノウイルスベクターによりmiR-34bが高効率に遺伝子導入できることを確認し、細胞増殖を抑制することを見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度として、#1,2の検討を行った。網羅的解析はできてはいないが、これまでmiRNA-34b/cのメチル化に着目したところ、小細胞肺癌(細胞株・肺癌)においてメチル化の頻度が比較的高いことを見出しており、miR-34b/cの抗腫瘍効果を見るために、アデノウイルスベクターにmiR-34bを組み込み、アデノウイルスベクターによりmiR-34bが高効率に遺伝子導入できることを確認し、小細胞肺癌細胞株の細胞増殖を抑制することを見出している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記結果を踏まえて、原発性肺癌におけるmiR-34b/cのさらなる機能解析(細胞周期、アポトーシス、浸潤能への影響)を行うとともに、他の候補miRNAの探索を行う(# 3. 該当miRNAの機能解析と原発性肺がんの病態の解析)。さらに、マウスモデルにおけるmiR-34b/cベクター導入による抗腫瘍効果をin vivoに検討を行うとともに、他の候補miRNA候補が同定されれば、その検討をする(# 4. 原発性肺がんマウスモデルでの抗腫瘍効果の検討 (in vivo))。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度としては、細胞周期、アポトーシス、浸潤能を中心に、flow cytometry法、TUNEL染色法、invasionアッセイ等で解析する。miRNA-34bでは標的メッセンジャーRNAが、アポトーシス、細胞周期等に関連していることが予想されているため、決定された標的メッセンジャーRNAの既知の機能に応じて解析を追加する。また、miRNAの導入による発現プロファイルの変化についても関連タンパク質のWestern blottingを行い、検討する。新たな候補miRNAの探索が必要な場合は、細胞株を脱メチル化剤である5-aza-2'-deoxycytidine (DAC)で処理し、処理前後のmiRNAを抽出、miRNAの発現をアレイで網羅的に解析する。DAC処理により発現の上昇を認めたmiRNAについてメチル化、発現を細胞株、臨床検体で確認する (メチル化解析はメチル化特異的PCR [MSP]法とBisulfite sequence [BS]法、発現は定量PCR法で行う)。
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