研究課題
悪性腫瘍においてマイクロRNA (以下、miRNA) の異常が注目されている。miRNAはRNA干渉により複数のタンパク質の発現を抑制する。原発性肺がんは様々な病態の解明や新しい治療法の研究が行われているにもかかわらず、がんによる死因の第一位であり、さらなる病態の解明・新しい治療法の確立が急がれる。本研究の目的は、原発性肺がんにおけるmiRNA異常を解析し、その病態の解明と新しい治療法の開発を目指すことである。本研究では、原発性肺がん細胞株、臨床検体においてDNAのメチル化により発現が抑制されているmiRNAを同定する。最終年度前年度までにmiR-34b/cおよびmiR-200cについて、原発性肺がんにおいて発現が低下していることを同定した。特にmiR-200cは、EGFR遺伝子変異を有する原発性肺がん細胞株のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性株を作成した際に、その耐性株においてその発現低下が確認され、またその耐性株では上皮間葉移行を認めた。そこで最終年度では原発性肺がん細胞株においてEGFR遺伝子変異の有無とmiR-200cの発現との関連を検討した結果、EGFR遺伝変異を有する細胞株ではmiR-200cの発現は保たれていることを明らかにした。また、EGFR遺伝子変異を有する原発性肺がん細胞株のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性株にmiR-200cを導入することで上皮間葉移行が解除されることも確認した。miR-34b/cについては、悪性胸膜中皮腫細胞株を用いたマウスモデルにおいて、アデノウイルスベクターによる導入で抗腫瘍効果を認めている。
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