研究課題/領域番号 |
23592383
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60046117)
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研究分担者 |
吉田 薫 桐蔭横浜大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70398973)
吉池 美紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, その他 (60398964)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 精子運動抑制因子 / semenogelin / 精子無力症 / 精液検査 / 妊孕性 |
研究概要 |
精子に対するsemenogelin(Sg)結合率を測定するため、精液から精子洗浄および固定の後、抗Sg抗体による免疫染色を行い、FACSによる解析を行う実験系を立ち上げた。既報に基づき試薬や器具を揃えた上で、実際の臨床精液検体を用いて一連の操作を行ったが、当初は抗Sg抗体による精子の染色シグナルが検出できず、結合率が測定できなかった。緩衝化パラホルムアルデヒドによる固定に問題があると考え、そのpHを測定したところ強塩基性となっていた。固定中に強塩基性溶液中で、抗原(Sg)が精子膜表面より流出してしまったことが予想された。そこで、緩衝液を変更し中性付近となるようにしたうえで固定を行ったところ、抗Sg抗体による染色が検出できるようになった。このことよりSgの立体構造はpHの影響を強く受け、精子膜との結合性に影響することが推察された。今後はこの点を更に追求し、その意義を検討していきたいと考えている。また、大量の臨床精液検体を処理する必要があるため、96穴プレートを用いた小スケールでの精子染色法の条件を検討し、実際の臨床検体を用いてその有効性を確認することができた。現在はこれらの成果の下に、臨床精液検体におけるSg結合率のデータを蓄積している段階である。一方、精子無力症患者の精子におけるSgの結合形態を明らかにする目的で、電子顕微鏡による観察を行っているが、前処理(洗浄)、固定、輸送によるアーチファクトがみられ、現在これらの最適条件を検討している。また、運動率の良い精子での結合様式を明らかにする目的で未固定での染色を検討したところ、運動精子は染色されないことを確認した。なお、Sg結合率を測定している不妊カップルがどのようなART治療によって妊娠・出産に至ったのか、また、男性側の身体所見、精液所見、内分泌検査所見等のデータベースの構築は順調に行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不妊カップルの精液試料バンクの構築を行なうために当院リプロダクションセンター男性不妊部門を受診した患者の精子を収集出来ている。これらの試料を基に精子に対するSPMI結合率、結合量を測定するための精子の前処理の方法について予備実験を行なってフローサイトメトリー測定系の立ち上げを行なっており、種々の問題点が出てきたこともあり班会議を行なって検討しておおむね測定のプロセスが良いことが確認され順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
精子無力症患者の精子に対するSPMI結合率、結合量の測定に関して精度管理を行なって安定した測定結果が出るように分担研究者の英知を集め測定方法を確立して行きたい。Sg付着の有無を検討する精子の光顕、電顕検索については精子の固定方法、試料の作成方法を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
特に次年度新たな研究費の使用計画はありません。平成23年度と同様の使用計画です。
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