研究概要 |
横紋筋肉腫由来の細胞株RMS-YM、RD、RH30の3株を用い、ヘッジホッグ(Hh)シグナル阻害剤を用いて細胞増殖の抑制実験を行った。Hhシグナルを特異的に阻害する薬剤としてCyclopamine(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA) 及びForskolin(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)の2種類を用い、それぞれ培養液中の濃度が5 mM、 10 mM、 25 mM になるように調整し、阻害剤を含まない培養液をコントロール群として計7群を作成した。まず、シグナル活性化の指標とされるGli1遺伝子の発現が抑制される抑制実験を行うったところ、阻害剤によりGli-1の発現低下が認められた。次に、細胞増殖抑制効果をWST assayにより検討した。96 wellのプレートに各細胞を5000/ 100μlの割合で撒き、0,1,2,3,5,7日後にWST assayを行ない、各Hhシグナル阻害薬の濃度別に細胞増殖曲線を作成したところ、各細胞株において、Hhシグナル系阻害薬によりdose-dependentに細胞増殖の抑制が認められた。また、Apoptosisの出現をApoptosis Detection Assayにより行ったところ、ヘッジホッグシグナル阻害剤の添加により、Apoptosisの増加が認められた。以上の結果から、ヘッジホッグシグナル系は横紋肉腫の増殖に深く関わる因子であることが示唆され、ヘッジホッグシグナル阻害剤の分子標的治療薬としての可能性が示された。以上の結果を国内および国外学会にて発表し、論文を作成した。また、in vivoでの転移抑制実験を行うべく、現在免疫不全マウスの尾静脈から横紋筋肉腫細胞を注射し、転移モデルを作成中である。
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