研究課題/領域番号 |
23592662
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山内 俊彦 久留米大学, 医学部, 講師 (80239839)
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研究分担者 |
山本 美佐 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70379957)
清川 兼輔 久留米大学, 医学部, 教授 (10195399)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 良性腫瘍 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 病理学 |
研究概要 |
H23年度はNF1細胞株と健常人由来骨髄単核細胞(BMMC)を分化誘導したマスト細胞の共培養実験系を作製し、回収した培養上清や細胞中に発現したタンパクのウェスタンブロッティングや細胞内に発現したmRNAを定量した。また、共培養時の細胞接着因子の発現についても検索した。実験は、手技全般の実施と総括を山内が担当し、材料調達、症例診断については清川が担当した。また、遺伝子学的・分子生物学的実験は共同研究者の山本が山口大学で実施した。1.NF1+/-細胞とマスト細胞培養時の細胞間相互作用について、腫瘍細胞の増殖にマスト細胞がどのように関与するかを検索するため、共培養時の細胞に発現する細胞増殖に関するmRNAについて定量PCR法を用いて検索した。またウェスタンブロッティングにより同タンパクの発現の増減も確認した。その結果、各種細胞増殖因子について共培養で有意に発現が増加していることを見いだし、第101回日本病理学会総会で報告予定である。2.NF1+/-細胞とNF1+/+細胞のアクチンフィラメント構築の差異について、NF1から確立した混合培養細胞株を、GFAP、S-100、フィブロネクチン、TypeVI collagen等の特異タンパクについて免疫組織化学染色を用いて神経系および線維芽細胞系等の起源を同定し、さらに線維芽細胞についてアクチンフィラメントの構築について検索し、正常細胞とは異なる構築を持つことを確認した。3.NF1に対するトラニラストの増殖抑制効果の検討について、NF1細胞とマスト細胞の共培養系に抗アレルギー薬であるトラニラストを添加し、細胞増殖抑制効果を解析した。mRNA定量と質量分析の結果、新たにトラニラストにより数カ所の細胞増殖および細胞接着因子に対する抑制効果が示された。1)~3)のデータの総合解析と考察、国内学会発表と国際誌への論文投稿準備も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NF1+/-細胞とマスト細胞培養時の細胞間相互作用について 腫瘍細胞の増殖にマスト細胞がどのように関与するかの実験で、あらたに数種類のタンパクの関与を確認した。その中でも特にMn-SODについては腫瘍中での役割が不明であったが、炎症性サイトカインや核内転写因子Nf-kBとの時系列的な発現実験により、炎症性サイトカイン→NF-kB発現→Mn-SODの発現のカスケードを確認出来た。さらに細胞増殖との関係についても確認作業中である。それ以外のタンパクについても同様の検討を実施する予定であり、当初の計画通り実験は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度の実験が順調に進行しているため、H24年度は当初の計画通り下記のように実験を推進させていく。1)腫瘍増殖に関わる未知タンパク質の検索(山内・山本)について、SDS-PAGE蛍光二次元蛋白電気泳動法でマスト細胞との共培養により増減するタンパクスポットを引き続き検出し、MALDI/TOF-MSによりタンパクを特定する。2)1)について、H23年やすでに特定されているタンパクについては、定量 PCR法によるmRNA発現を確認し、特定タンパクの発現時期や経時的変化を捉える。特定されたタンパクのシグナル伝達経路について、上流及び下流に存在する因子について阻害剤添加により伝達経路遮断し、ウエスタンブロット法や定量PCR法によりタンパク発現量やmRNA発現量に対する影響を確認する。3)NF1細胞とマスト細胞の接着部位の視覚的観察と発現蛋白の腫瘍増殖に関する作用の検索(山内・清川)について、阻害剤添加による細胞動態変化の視覚的観察(FRETおよび免疫蛍光染色によるLSM観察)およびimmunoblotting法による阻害蛋白の同定4)1)~3)のデータの総合解析と考察、国内・国際学会発表と国際誌への論文投稿(山内・山本)
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次年度の研究費の使用計画 |
*実験試薬類培養細胞用培地および成長因子試薬代として20万円、遺伝子実験用試薬(定量PCR試薬)代として20万円、免疫蛍光染色試薬および二次元電気泳動試薬として20万円を計画している。・実験器具類細胞培養器具および遺伝子実験用器具消耗品代として各10万円を計画している。
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