研究課題/領域番号 |
23592662
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
山内 俊彦 久留米大学, 医学部, 講師 (80239839)
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研究分担者 |
山本 美佐 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70379957)
清川 兼輔 久留米大学, 医学部, 教授 (10195399)
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キーワード | 良性腫瘍 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝子 / 病理学 |
研究概要 |
H24年度はNF1細胞株と健常人由来骨髄単核細胞(BMMC)を分化誘導したマスト細胞の共培養実験系を作製し、回収した培養上清や細胞中に発現したタンパクのウェスタンブロッティングを主に実施した。また、共培養時の細胞接着因子の発現についても検索した。実験は、手技全般の実施と総括を山内が担当し、材料調達、症例診断については清川が担当した。また、タンパク実験手技は共同研究者の山本が山口大学で実施した。 1.NF1+/-細胞とマスト細胞培養時の細胞間相互作用について・・・腫瘍細胞の増殖にマスト細胞がどのように関与するかを検索するため、共培養時の細胞に発現するタンパクについてウェスタンブロッティングにより発現の増減を確認した。その結果、各種細胞増殖因子について共培養で有意に発現が増加していることを見いだし、第101回日本病理学会総会で報告し、さらに第102回同学会でも6月5日の一般口演「遺伝子異常と疾患」にて発表予定である。 2.NF1+/-細胞とNF1+/+細胞のアクチンフィラメント構築の差異について・・・NF1から確立した混合培養細胞株について、主な神経線維腫腫瘍構成細胞である線維芽細胞についてアクチンフィラメントの構築について検索し、正常細胞とは異なる構築を持つことを確認し、フィラメントの定量実験を実施した。 3.NF1に対するトラニラストの増殖抑制効果の検討・・・NF1細胞とマスト細胞の共培養系に抗アレルギー薬であるトラニラストを添加することで、細胞増殖抑制効果を解析した。ウェスタンブロッティング手技により、トラニラストにより数種類のサイトカイン産生が抑制し、これらのサイトカイン産生に関与すると考えられるNF-kBの発現量についても抑制効果が示された。 1)~3)のデータの総合解析と考察、国内学会発表と国際誌への論文投稿準備も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により腫瘍細胞増殖への関与が確認されたMn-SODについて、炎症性サイトカインや核内転写因子Nf-kBとの時系列的な発現実験により、炎症性サイトカイン→NF-kB発現→Mn-SODの発現のカスケードを確認出来た。さらにNF-kB転写因子が核内へのシグナル移行も確認出来たことから、上記のカスケードについて再確認できた。その他の細胞接着因子についても同様の検討を実施しており、当初の計画通り実験は順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度の実験が順調に進行しているため、H25年度はさらに下記のような計画で実験を推進させていく。 1)腫瘍増殖に関わる炎症性サイトカインの動向と核内転写因子の関連について免疫沈降手技を用いて検索する(山内・山本)。 2)1)について、特定されたシグナル伝達経路について、上流及び下流に存在する因子について阻害剤添加により伝達経路遮断し、より詳細なカスケードについて明らかにする(山内・山本)。 3)1)~2)のデータの総合解析と考察、国際誌への論文投稿(山内・山本・清川)
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次年度の研究費の使用計画 |
*実験試薬類 培養細胞用培地および成長因子試薬代として20万円 免疫蛍光染色試薬および二次元電気泳動試薬として20万円 ・実験器具類 細胞培養器具および遺伝子実験用器具消耗品代として各10万円 ・国際誌への投稿費用として10万円
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