研究課題/領域番号 |
23592679
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上田 健太郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20438279)
|
研究分担者 |
中 敏夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (00244757)
木田 真紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00326381)
米満 尚史 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80382331)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | HVJ Envelope vector / PAI-1 SiRNA / SOCS1 / 術後腸管癒着 |
研究概要 |
腹部緊急手術は外傷・急性腹症がほとんどで腹腔内は強い炎症があり、高頻度に術後腸管癒着が発生し、臨床的に大きな問題となっている。しかしながら、腸管癒着に対する予防法、予防薬は未だ確立されていない。近年、癒着形成に関する免疫学的要因が提唱され、その分子生物学的メカニズムが解析されてきた。 今回、我々は癒着形成メカニズムの重要因子であるPAI-1とSTAT1の発現を抑制するPAI-1 siRNA vectorとSOCS1 expression vector(特異的にSTAT1を抑制する)を作製しこれらを用いて、マウス腸管癒着モデルで予防効果と安全性を詳細に検討する。 PAI-1 siRNA HVJ Envelope vectorの作製:PAI-1に対するsiRNA配列を様々な情報源から5種類のsiPAI-1を合成し、そのノックダウン高率の検定をリアルタイムPCR法並びにWestern blot法で行ったが、いずれもノックダウン率が低く、まだHVJ Envelope vector Kitを用いてのsiPAI-1 HVJ Envelope vectorを作製できていない。 SOCS1 expression HVJ Envelope vectorの作製:研究代表者が以前留学していたMD Anderson Cancer Centerから寄与された、SOCS1 cDNA plasmid vectorとHVJ Envelope vector KITを用いてSOCS1 expression HVJ Envelope vectorを作製した。 In vitroにおける作製vectorの発現効率の検討:SOCS1 vectorをマウス正常腸管細胞株にtransfectionし、SOCS1の増強・STAT1の低下の低下をリアルタイムPCR法並びにWestern blot法で確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、PAI-1発現を抑制するsiRNA配列を同定するのに困難を極めていて、PAI-1 siRNA HVJ Envelope vectorの作成ができていないのが大きな理由である。次に、研究分担者が途中で退職したたため、BALB/cマウスを用いた術後腸管癒着形成モデルの安定した作成がまだできていない状況である。現時点では新たな分担者によるモデル作成が行われており、本年度後半には動物実験が開始できる予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
PAI-1 siRNA HVJ Envelope vectorの作製:PAI-1に対するsiRNA配列を様々な情報源から5種類のsiPAI-1を合成し、そのノックダウン高率の検定をリアルタイムPCR法並びにWestern blot法で行うことで最適なssiRNAを決定する。次に、HVJ Envelope vector Kitを用いて、このsiRNAをtransfectionしてsiPAI-1 HVJ Envelope vectorを作製する。 In vitroにおける作製vectorの発現効率の検討:作製siPAI-1 HVJ Envelope vectorをマウス正常腸管細胞株にtransfectionし、SOCS1の増強・STAT1の低下・PAI-1の低下をリアルタイムPCR法並びにWestern blot法で行うことでIn vitroにおける作製vectorの発現効率の検討を行う。 BALB/cマウスを用いて再現性の高い術後腸管癒着形成モデルの作製技術の習得:術後腸管癒着形成モデルはBALB/cマウスを用いて以下のプロトコールで行う。Pentobarbitalによる麻酔下で、右下腹部正中切開にて開腹を行う。ヒトの手術用バイポーラ凝固鉗子を用いて盲腸を1秒間焼灼し、閉腹する。7日後再開腹し、癒着の程度を評価する。安定してscore 5の癒着が形成される技術を習得する様、トレーニングを重ねる。 平成25年度の予定として、SOCS1 expression HVJ Envelope vector・PAI-1 siRNA HVJ Envelope vectorを用いた術後腸管癒着マウスモデルでの癒着予防効果の検討、さらにHGFタンパク質投与における併用効果の検討、そして論文作成を予定している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究達成度は低い結果となったが、研究費の繰り越しは多い状況である。また、in vitroの実験設備はほぼ整い、後は消耗品のみの研究費使用となる。in vivoの実験はまだ開始したばかりで今後、研究費使用のほとんどを占めることになると考える。予定では残りの研究費で十分に研究をまとめ、論文作成を行えるが、本年度で研究の進行が得られない場合は本研究の縮小も考えていくつもりである。
|