研究課題/領域番号 |
23593378
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
井手 知恵子 大分大学, 医学部, 教授 (00232421)
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研究分担者 |
志賀 たずよ 大分大学, 医学部, 准教授 (90305847)
後藤 奈穂 大分大学, 医学部, 助教 (30582811)
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キーワード | 都道府県保健師活動 / 人材育成 / ジョブローテーション |
研究概要 |
本研究の目的は、人材育成を考慮したジョブローテーションに資することをめざし、同職他者・他職他者が認める保健師としての資質と能力を備えた保健師について、職務経験とそれによる能力・技術の獲得経過、さらにその経過における現任教育の環境・条件を明らかにすることである。これにより、保健師の人材育成にもたらす活動経験を積み重ねていく側面と、人材育成の条件となる職場の人的環境を整える側面から、ジョブローテーションの要件を検討する。 研究方法は、タイプの異なる3つの県、すなわち市町村合併・保健所管轄変更など組織変革を経たA県、本庁配属保健師を増加させているB県、複数の政令市・中核市があるC県をフィールドとして保健師経験おおむね3年以上の保健師およびその同僚(他職)への郵送による質問紙調査(無記名・郵送回収)を行い、これにより組織内で能力を発揮していると推薦された保健師に対する半構成的面接およびグループフォーカスインタビューを実施し、その活動体験と意味を検討しジョブローテーションモデルの要件を検証する。 本年度は、3県の保健師およびその同僚(他職)への質問紙と、これによって推薦された8名の保健師に対する半構成的面接を実施した。保健師・他職者とも323名分の質問紙を配布し、保健師135名(41.8%)・他職者86名(26.6%)より回答を得た。「経験豊かな保健師」の推薦に際して同職他者・他職者の推薦理由と重要視する能力に着目し、その特徴を検討したところ、推薦理由としては、多分野での経験や行政・企画能力が多く、次いで保健師としての知識・信念・技能、人格・人望、向上心・積極性、教育・指導能力、行動力、リーダーシップ、対人関係・連携、、管理能力などがあげられ、保健師・他職種ともに年代別・所属別に重視する能力が異なり、実際の推薦理由には重要視する能力が反映されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初、3県における調査を、申請年度3ヵ年の中で県別に段階を区切って経年的に実施する計画としたが、実際に調査準備と調整を行う中で、データ収集と分析の効率化をはかるためにも、3県で同時に調査を実施する調査計画に変更した。 このため、昨年度は調査準備・調整に時間を要したが、今年度以降については、郵送による質問紙調査および半構成的面接を終えることができ、次年度には面接データの分析とそれに基づくグループフォーカスインタビューによる調査実施と分析が可能となっており、全体の進捗状況としては、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、都道府県保健師の人材育成としてのジョブローテーションの要件について検討するため、タイプの異なる3つの県、すなわちを市町村合併・保健所管轄変更など組織変革を経たA県、本庁配属保健師を増加させているB県、複数の政令市・中核市があるC県をフィールドとしている。今後、3県で推薦され、半構成的面接を終了した保健師のデータから、推薦保健師の活動体験とその意味を明らかにし、それをもとに3県の保健師を対象としたグループフォーカスインタビューにより検証と分析を重ねる。
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次年度の研究費の使用計画 |
半構成的面接データの整理・分析にかかる研究補助者に対する謝金等を主とする費用と、グループフォーカスインタビューにかかる費用、面接・研究打ち合わせにかかる旅費、研究成果報告書の作成のための費用等を予定している。
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