研究課題/領域番号 |
23593394
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
塩見 美抄 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (10362766)
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研究分担者 |
牛尾 裕子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (00275322)
井上 清美 神戸常盤大学, 保健科学部, 准教授 (20511934)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地域看護学 / 保健師基礎教育 / アセスメント / 教材開発 |
研究概要 |
本研究の目的は、保健師基礎教育課程の学生の、地域における対象アセスメント能力を向上させることを意図した視聴覚教材を開発し、その効果を検証することである。3年次計画の初年度である平成23年度は、学生の学習目標と内容の明確化を行った後、視聴覚教材の原案を作成した。 1.研究組織の再編成: 質の高い教材を開発するため、研究メンバーの追加と組織の再編成を行った。研究協力者として、新たに大学教授2名、助教1名、助手1名の参加が得られ、合計8名のメンバーとなった。また、研究組織を個別事例アセスメント班と地域アセスメント班の2班構成に再編し、全体での研究会議を年3回開催して各班の研究内容の共有と統合をはかった。 2.学生の学習目標と内容の明確化: 学生のレディネスは、(1)対象領域別の看護の知識と、個を対象とした看護過程を習得済みである、(2)地域看護の理念、対象、支援技術に関する知識を学習済みである、(3)対象別の地域看護活動に関する知識を学習済みであるとし、地域看護実習の準備段階にある学生を対象とした。各研究班で、家庭訪問演習場面と地域アセスメント演習場面を想定した学習目標と学習させたい内容の明確化を行い、それぞれ一覧表に示した。 3.視聴覚教材の構成・内容の明確化と教材原案作成: 家庭訪問演習で用いる視聴覚教材については、教材のねらいを、(1)アセスメントの基本となる考え方・大事にすべき価値を映像を通じて理解する、(2)アセスメントの視点と方法を、具体的に理解する、(3)ニーズを見出すための保健師のコミュニケーションの実際をイメージ化するとし、3場面構成による教材案を作成した。地域アセスメント演習で用いる教材は、学習目標や内容に照らして視聴覚教材のあり方を再検討した結果、DVD教材に限らず写真やワークシートなどを活用して、学生の思考過程をサポートするワークブック形式にすることになり、その原案が完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度の研究計画としては、(1)視聴覚教材の構成・内容の明確化と、(2)視聴覚教材の検証のためのコントロール群への介入を予定していた。 (1)については、研究組織や教材の形式・構成の変更があったものの、当該年度中に視聴覚教材の原案作成まで完成しており、概ね年度目標は達成できたと考える。今後は、教材原案の妥当性の検討が必要である。 一方、(2)については、教材の構成・内容の明確化に予定以上の時間を要し、検証の対象となる学生の不利益を最小限にするための教授内容の明確化や、評価指標の作成が実施できなかった。よって、コントロール群への介入は、次年度に移行することとし、研究全体の進捗は、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度からの課題として、視聴覚教材原案の妥当性の調査と、教材の検証のためのコントロール群への介入がある。検証のための介入は平成23年度と24年度(教材使用群への介入)の2年間で実施する予定であったため、当初の計画から1年ずつ遅らせることで対処する。 平成24年度は、視聴覚教材原案の妥当性調査と原案修正の後、教材の製作を行う。また、視聴覚教材の検証のためのコントロール群への介入を実施する。コントロール群の学生には、教材完成後視聴の機会を設けることで、学生の不利益を最小限にする。 平成25年度は、指導者ガイドブックやワークブックを作成すると共に、視聴覚教材検証のための教材使用群への介入を実施し、前年度結果と比較検証を行う。また、研究成果を普及伝搬するため、ホームページによる教材ダウンロードシステムを確立する。 各年度の研究成果は、国内外の学会発表、論文発表を通じて公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年の残金は、視聴覚教材素材収集のための調査費用に該当するものである。計画当初は、教材原案作成の前にインタビュー調査を実施する予定であったが、既存研究や文献、研究者会議等で素材収集ができたため、原案の妥当性確認のための調査に計画を修正した。その調査を平成23年度中に実施できなかったために、残金が生じることになった。生じた残金は、以下のとおり次年度の研究費に繰り越す。I.視聴覚教材原案の妥当性の調査と原案修正(4月~7月):視聴覚教材の内容の妥当性を高めるため、熟練した地域看護職者を対象にアンケート調査・インタビュー調査を行う。調査費用(旅費、郵送料、人件費)には、昨年度よりの繰越金の一部を充当する。調査結果をもとに、原案の修正を行う。II.視聴覚教材の制作(8月~12月):撮影協力者や映像製作会社等との製作会議(2回)の後、視聴覚教材の制作を行う。必要経費は、旅費、撮影・編集費、会場費、謝金、物品費、消耗品費等を予定している。昨年度よりの繰越金の内、上記Iの調査の残額は、撮影・編集費の補填に使用する。III.教材検証のためのコントロール群への介入(11月):研究代表者の所属大学で、学生のレディネスが合致している3年次生を対象に、視聴覚教材を用いず、家庭訪問・地域アセスメントの演習を実施する。評価指標を用いて、対象アセスメント技術習得の程度を学生が自己評価する。必要経費は、消耗品費を予定している。IV.研究成果の公表:研究成果を国内学会2件で発表する。また、国内学会誌1誌に論文投稿する。必要経費は、旅費、論文投稿費、学会参加費を予定している。
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