本研究では,日常生活でのうつ熱発症予防という観点から,身体との接触面からの体熱除去で誘発される温熱生理反応の特徴抽出と,最適な冷却アルゴリズムの確立を目的とした.健常者を被験者とした温熱環境下での背部冷却実験から,発汗量の有意な減少を確認できたため,人為的な体熱除去が人体の温熱生理反応を代替できることが示された.一方で,被験者間の皮膚温のばらつきが減少したり,皮膚温と血流量の相関性が崩れるなど,体熱除去が通常の温熱生理反応の外乱となりうる現象も確認された.この結果は,代謝量や生理反応を指標として,冷却出力などをリアルタイムに調整する必要があることを示唆している.
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