研究概要 |
表情フィードバック仮説に基づいて、笑顔を作ることの臨床的な応用効果について実証的な研究を行った。具体的には、申請者ら(Mori & Mori, 2009)が考案し、健康な大学生を用いてその効果が検証済みの「スマイルエイド」(バンドエイドと輪ゴムを使って頬を引き上げる装着具)を、気分の落込みを訴える学生に対して用い、その効果を検証する実験を実施した。「スマイルエイド」による笑顔の効果の測定は、感情誤帰属手続き(Affection Misattribution Procedure: Payne, et al., 2005)と申請者らが開発した紙版の潜在連想テスト(FUMIEテスト、Mori, Uchida, & Imada, 2008)を用いた。 実験は、健常大学生を被験者としたものと大学の健康管理センターへ気分の落ち込みを主訴として来談した学生を被験者としたものの2種類を行った。 健常大学生を被験者とした実験は完了し、仮説通り、スマイルエイドによって作られた笑顔であっても、感情誤帰属手続きで有意に好意的な反応が多くなることが確認された。この研究成果は論文にまとめ、投稿した(Mori, Mori, & Hayakawa, 2012)。 気分の落ち込みを訴える学生を被験者とした実験は、被験者が当初の計画通りには集まらず、まだ分析に必要な数のデータ収集に至っていない。今後、実験を継続し、被験者数を増やし、実験仮説の検証を試みる。
|