研究課題/領域番号 |
23653238
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱田 博文 筑波大学, 人間系, 教授 (20212152)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | スクールリーダーシップ / 日本的特性 / 学校改善 / 学校組織 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本における公立学校の組織や教職にみられる固有の性質に着目し、学校改善に有効性を発揮しうるスクールリーダーシップの日本的特性を解明し、それを踏まえた具現化の指針を明らかにすることである。本研究は主として以下の3つの研究課題を設定して研究を進める。1.組織とリーダーシップの理論と実践に関する比較文化的調査:欧米とアジア・日本の組織とリーダーシップに関する比較文化的研究の諸成果を分析するとともに、それらを理論的背景として実践されてきたリーダーシップ研修プログラムの内容分析を行う。2.日本の公立学校における学校改善過程とそのリーダーシップ要因に関する調査:国内の公立学校の中から学校改善が進行した事例を選定し、観察・インタビュー調査を継続的に実施し、とくにリーダーシップ要因に注目して質的検討を行う。3.総合的考察:上記課題1と課題2の成果を照らし合わせてスクールリーダーシップの日本的特性を明らかにし、日本におけるスクールリーダーシップ具現化のための指針を提示する。 平成23年度においては、課題1のうちヨーロッパ諸国とアメリカ合衆国における理論的・実践的動向について、主として文献の収集・検討によって明らかにした。また、それと並行して、国内の学校改善事例を選定して訪問調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7名の共同研究の初年度なので、研究打合会を開催して目的と課題を共有し合い、各自の分担すべき作業課題を明確にして取り組んだ。当初は初年度に海外調査を考えていたが、それよりも基本文献による課題共有とデータ収集を重視したので、海外調査は次年度に行うことにして、基本文献の購入・分析によって調査課題を明確にすることができた。また、国内での学校は幅広く探索して、各自が事例校を選定し、観察・インタビュー調査を進めることができた。 ヨーロッパ諸国における動向については、連携研究者の末松裕基が成果の一部を論考にまとめることができた。また、研究代表者の浜田博文が編著者となり、国内におけるスクールリーダーシップの実践的動向を踏まえて『学校を変える新しい力』(小学館)を刊行することができた。 以上により、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
文献調査を通じて、ヨーロッパ諸国、アメリカ合衆国ではスクールリーダーシップ開発に関する取り組みが予想以上に活発に行われ、政策的関心も高まっていることが明らかになっているので、引き続きそれらの最新情報の入手に努めたい。とくに、日本以外のアジア諸国では、スクールリーダーシップ開発において欧米の研究者からの助言などをうけている事例がみられる。欧米での研究と実践がアジア諸国の文化のなかでどのように融合的に導入されているかということも本研究で考察を深めるべき課題として考えられる。こうした点も考察視点に加えて海外調査に取り組みたい。 また、国内の事例校調査は継続的に進めて、リーダーシップの要因を浮き彫りにしたい。この種の事例調査は長期的な視野で改善過程を把握する必要があり、観察とともに様々な関係者へのインタビューが必要とされるので、今後も計画的に進めたい。 こうした国内外の調査データを踏まえて、日本以外のアジア諸国や太平洋地域での動向をも射程に置いて、西洋的リーダーシップと東洋的リーダーシップの関係性をも考慮しながら、スクールリーダーシップの日本的特性について考察していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の最新の理論的・実践的動向を捉えるために文献探索を続けて最新の文献を購入し、内容分析を行う。そのための図書購入費が必要である。 引き続き国内事例校調査を行うための旅費が必要である。 平成23年度に予定していたハワイ大学東西センターでのリーダーシップ開発プログラムについての実地調査を行う。また、アジア諸国のスクールリーダーシップ開発機関(シンガポール国立教育研究所など)の調査も実施したい。そのための海外旅費が必要である。 以上の調査結果を持ちよって協議するための研究打合会を開催するための国内旅費も必要である。
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