研究課題/領域番号 |
23653238
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱田 博文 筑波大学, 人間系, 教授 (20212152)
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キーワード | スクールリーダーシップ / 日本的特性 / 学校改善 / ミドルリーダー |
研究概要 |
8月に研究打合会を開催し、平成23年度から各共同研究メンバーが進めてきた研究作業の途中経過および成果などについて報告し合い、今後の研究課題について協議した。国内の公立がこの中で学校改善が進んだとみられる事例を対象とした観察・インタビュー調査は、小学校2校、中学校1校、高等学校1校について調査の経過と分析結果が報告され、引き続き継続的な調査を進めることになった。イギリス教育行政学会におけるスクールリーダーシップの議論を手がかりに、ヨーロッパ諸国におけるスクールリーダーシップの開発動向については、論文の成果報告がなされ、それを参照しながらアジア・太平洋地域の研究や研修動向に対する調査の視点について協議した。 9月以降、ハワイ大学東西センターでニコラス・バーカー研究員へのインタビューと資料収集を実施し、同センターで開催されているリーダーシップ研修のプログラム内容について情報収集をおこなった。また、3月にはシンガポール国立教育研究所での資料収集およびインタビュー調査を実施して、同国におけるスクールリーダーシップ開発のための研修内容について把握することができた。これらの海外調査と並行して、国内での公立小学校と公立中学校での観察・インタビュー調査を継続した。現時点で明らかになっていることの一つは、日本の学校改善およびスクールリーダーシップにおける地域の環境特性や住民の主体性発揮の重要性である。また、もう一つは、ミドルリーダーのリーダーシップが先進諸国では注目されているし、国内調査においても校長のリーダーシップとは異なるミドルリーダーおよび他の教員によるリーダーシップが学校改善にとってきわめて重要な機能を果たしていることである。この点については、日本の教員という職業自体がもつ包括性・総合性という特質を踏まえてさらに考察を深める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7名の共同研究として進めているが、作業課題は海外調査と国内の学校調査をそれぞれで分担して進めている。海外調査は先方とこちらの日程調整に手間取り、また、シンガポール調査においては、担当の連携研究者である末松が年度途中で異動したため、年度末の3月に時期がずれ込んでしまった。国内の学校調査については適宜、継続的におこなっているが、未だデータ収集の段階である。今年度はこれらの事情から、具体的な研究成果をまとめる段階には至っていないが、データの収集と整理は進めている。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカの調査を実施できていないので、最終年度にはアメリカのスクールリーダーシップ開発に関係する研修プログラムや研究動向について調査をおこなう。また、国内の公立学校調査はこれまで収集したデータを整理・分析する。これらの調査結果のほか、前年度までの結果を含めて持ち寄り、研究打合会を開き、スクールリーダーシップの日本的特性について総合的考察をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
アメリカへの調査旅費、および全員による研究打合会の開催のため、旅費が必要である。収集したデータの整理のため、テープ起こしや人件費が必要である。また、考察のために必要な文献購入が必要である。
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