本研究プロジェクトでは,反対称バージョンの「マリアバン解析」を構築することを課題としていた.それに関して得られた成果は次の3点である.まず,本研究の出発点となったタウ関数の確率論的表示に関しては,これまでのKdV階層に関する結果を大きく拡張してKP階層のタウ関数の確率論的表示を得た.また,Wiener空間上のクリフォード代数の構成については現在投稿準備中であり,また,その表現に基づくWiener空間上の"フェルミオン"のボゾン化写像の確率論的構成についても投稿準備中である.これらの知見に関わって数理ファイナンスにおける金利の期間構造の記述とソリトンの関係についての興味深い結果が得られた.
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