相分離現象を記述するために提唱された数理モデルを、過去15年ほど数学の立場から研究しているが、その解析を通じて、曲面の向付けとその曲面測度をペアにして考える観点の重要性を認識するに到った.特に平均曲率流の特異摂動問題において極限で現れる曲面はこのペアの形で得られる.この特徴を用いて、そのようなペアでなければ得られない存在定理や正則性定理を得ることができた.具体的には一般次元における、移流項付の平均曲率流の存在および正則性定理(高棹圭介氏との共同研究、論文査読中)、凸領域におけるノイマン条件付の平均曲率流の存在定理および境界条件の特徴付け(水野将司氏との共同研究、論文査読中)の成果を得た.
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