古典力学的状態の発展の演算子であるリウビル演算子の固有値問題に基づいて、古典的非可積分系の解析的な分析を行った。本研究では、非可積分系の典型的な例として小惑星・太陽・木星の制限三体問題に着目し、小惑星の分布において観測されている縞構造について、量子力学で発展してきた数学的手法を用いて定量的な解析を行った。小惑星と木星の公転周期が簡単な整数比になる共鳴点において摂動論を適用し、リウビル演算子の固有値問題の近似的解析解を求めた。またこの解を用いて小惑星分布の縞構造の時間発展を評価したところ、数千年という時間スケールで縞構造が現れることが判明した。
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