研究課題/領域番号 |
23655104
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原田 明 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127282)
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研究分担者 |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90332741)
日高 国幸 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (50437430)
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キーワード | 血管内塞栓物質 / ゲスト相互作用 / ヒドロゲル / シクロデキストリン / 自己修復性 / 刺激応答性 |
研究概要 |
血管内治療において、塞栓物質の開発・臨床利用は欧米では積極的に利用されつつあり、その治療効果は絶大である。一方で日本では保険未承認の影響もあり、開発自身も遅れている。本申請課題においては、新たな高分子材料を用いた血管塞栓物質の開発に向けて、自己修復性を備えた血管塞栓物質の作製を行う。さらに高分子塞栓物質に効率よく薬剤を坦持できる超分子ホスト分子を導入し、塞栓も行いながら、薬剤溶出によって腫瘍を効率よく死滅させる球状高分子の開発に取り組むことを目的とした。 光刺激応答性伸縮ゲルの作製 我々はホスト分子であるシクロデキストリン(CD)を用いて、CD のホスト-ゲスト相互作用を利用して、超分子ヒドロゲルを作製した。CD は選択的に疎水性の有機分子を取り込み、包接錯体を形成する。今回、我々は高分子の側鎖にホスト分子であるCD とCD のゲスト分子となる刺激応答性分子、さらに超分子ヒドロゲルを構成する分子と形態保持ための架橋分子を加えて、超分子ヒドロゲルを作製した。作製した超分子ヒドロゲルは有機溶媒中では大きく膨潤するのに対して、溶媒を水に置き換えることによって、大きく収縮した。このような溶媒の疎媒性の変化に対して、CD とゲスト分子の両方が修飾されていないゲルでは逆に大きく膨潤した。CD とゲスト分子の両方が修飾されている超分子ゲルが示した収縮性はホスト-ゲスト相互作用による包接錯体が形成されることにより、高分子鎖間の架橋点数が増加したことが原因であることが明らかとなった。このようなホスト-ゲスト相互作用による架橋点の形成は可逆的に制御できるため、刺激応答性のゲスト分子を選択することで、可逆的に膨潤収縮を行うことが出来る。今回、ホスト-ゲスト相互作用による可逆的な架橋点の形成を光刺激と酸化還元刺激の二つの系にて実施し、筋肉の様な伸縮性を示す超分子マテリアルの作製に成功した。
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