研究課題/領域番号 |
23656150
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石塚 悟 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70129162)
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研究分担者 |
下栗 大右 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40432687)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 環境技術 / 大気汚染防止・浄化 / 熱工学 |
研究概要 |
本研究では,最近,燃焼学の分野で明らかになった2つの手法,すなわち,燃焼ガスを炉内で自己再循環させNOx値を低減させる方法と,回転流場に異なった流速で燃料と酸化剤を吹き出し連続的な空間分布のある燃料濃度場を作る方法,を有機的に結合させ,天然ガスの主成分であるメタンを燃料とした場合のNOx排出値を数ppm以下に抑える超低NOxバーナの実現を目指した。具体的には,可視化型の自己循環型管状火炎バーナとして,従来の接線方向に高速で吹き出す空気のエジェクター効果を利用して燃焼ガスを再循環させる方式のものと,燃料と空気を異なる速度で吹き出し,連続的に燃料濃度を空間的に変えられるもの,を設計し,製作した。これらに対し,火炎外観,安定燃焼範囲のマッピングを行ったほか,代表的な流量条件で熱電対,NOxメータ,CO/CO2メータ,O2メータを用いてバーナ出口でのそれぞれの値を求めた。これらの成果を,第49回燃焼シンポジウム(H23年12月5~7日,慶応義塾大学),日本機械学会中国四国支部第50期総会・講演会(H24年3月7日,広島大学)で発表したほか,本研究の基礎となる燃料・空気の吹き出し速度比による火炎構造制御に関する研究成果を日本機械学会論文集に掲載した。また,ChemkinならびにNOの生成機構を考慮した数値計算を行い,測定されたNOx値を吟味し,NO,NO2生成ルートを吟味してさらなる低減の余地があるかどうかを反応動力学的に検討し,次年度に実施する究極の超低NOxバーナの試作に向けて,予備設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では二つの手法,すなわち,燃焼ガスを炉内で自己再循環させNOx値を低減させる方法と,異なった流速で燃料と酸化剤を吹き出し連続的な空間分布のある燃料濃度場を作る方法,を有機的に結合させ,NOx排出値を数ppm以下に抑える超低NOxバーナの実現を目指している。第一の燃焼ガスを自己再循環させNOx値を低減させる方法に関しては,エジェクター効果を利用し燃焼ガスを自己再循環させる内径1.25インチの自己再循環型管状火炎バーナを製作し,メタンと空気の予混合気を対象に燃焼特性について調べ,自己再循環を行わない場合に比べNOx値を4分の1程度に低減させることに成功した。この成果は,日本機械学会中国四国支部講演会で発表した(彭 宏偉・下栗 大右・石塚 悟:自己再循環型低NOx管状火炎バーナの燃焼特性,日本機械学会中国四国支部第50期総会・講演会,講演論文集(CD-R),2012)。一方,第二の異なった流速で燃料と酸化剤を吹き出し,連続的な空間分布のある燃料濃度場を作る方法に関しては,空気と燃料の吹出し速度比が変えられる管状火炎バーナを試作し,流速比により連続的に燃焼場が変わることを実験的に確認した。この成果は,第49回燃焼シンポジウム(彭 宏偉・胡 杰・下栗 大右・石塚 悟,自己循環型管状火炎バーナの燃焼特性,第49回燃焼シンポジウム講演論文集,横浜,pp.498-499,2012),並びに,日本機械学会中国四国支部講演会(王 艶雷・五木田 直彦・下栗 大右・石塚 悟,小型急速混合型管状火炎のNOx生成に及ぼす吹き出し流速比の影響,日本機械学会中国四国支部第50期総会・講演会,講演論文集(CD-R),2012)で発表した。最終年度は,いよいよ,これらを有機的に結合し,NOx排出値を数ppm以下に抑える超低NOxバーナの実現を目指す。以上より,おおむね順調に進展していると評価できる
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今後の研究の推進方策 |
上述したように,今年度は,エジェクター効果により燃焼ガスを自己再循環させられるバーナと燃料/空気速度比可変の吹き出し部を組み合わせ,いよいよ,NOx排出値を数ppm以下に抑える超低NOxバーナの実現を目指す。また,成果を確認するため,ガス分析,流速測定,自己再循環量などの計測などを行い,学術的なデータ基盤の強固に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究成果を踏まえ,以下に主な研究費の使途を列記する。(1) NOx値を数ppm以下に抑える連続多段燃焼/自己再循環型管状火炎バーナの設計・製作費(2) 可視化測定用石英ガラスの購入(3) NOxメータ,ガスクロ用標準ガスの購入(4) 研究成果発表旅費
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