本研究では,最近,燃焼学の分野で明らかになった2つの手法,すなわち,燃焼ガスを炉内で自己再循環させNOx値を低減させる方法と,回転流場に異なった流速で燃料と酸化剤を吹き出し連続的な空間分布のある燃料濃度場を作る方法,を有機的に結合させ,天然ガスの主成分であるメタンを燃料とした場合のNOx排出値を数ppm以下に抑える超低NOxバーナの実現を目指した。 具体的には,可視化型の自己循環型管状火炎バーナとして,従来の接線方向に高速で吹き出す空気のエジェクター効果を利用して燃焼ガスを再循環させる方式のものと,燃料と空気を異なる速度で吹き出し,連続的に燃料濃度を空間的に変えられるもの,を設計し,製作した。これらに対し,火炎外観,安定燃焼範囲のマッピングを行ったほか,代表的な流量条件で熱電対,NOxメータ,CO/CO2メータ,O2メータを用いてバーナ出口でのそれぞれの値を求めた。 その結果,単純に,自己再循環を用いた場合,NOx値は自己再循環無しの場合に比べ2分の1から4分の1に低減されること,これに,燃料と空気を異なる速度で吹き出し,燃料濃度の空間分布を作るとわずかではあるがNOx値がさらに低減することがわかった.具体的には,空気比1.3でNOx値が17ppmまで低減できた.また,ChemkinならびにNOの生成機構を考慮した数値計算を行い,測定されたNOx値を吟味した. これらの成果の一部を,第49回燃焼シンポジウム(H23年12月5~7日,慶応義塾大学),日本機械学会中国四国支部第50期総会・講演会(H24年3月7日,広島大学),第50回燃焼シンポジウム(H24年12月5~7日,名古屋)で発表したほか,本研究の基礎となる燃料・空気の吹き出し速度比による火炎構造制御に関する研究成果を日本機械学会論文集に掲載した。
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