本課題では、MHz帯の電磁波を利用し、圧電効果を用いて不正薬物を非破壊で検知できる要素技術開発を行い、圧電効果を利用した新しい検査方法の可能性について評価することを目指した。平成24年度は、平成23年度に開発した不正薬物検知装置を用いて、粒径依存性の調査、覚せい剤の検出、有効性の評価を行った。また、電波法の規制対象とならない、放射電波強度が規制を下回るようグラジオ構造を有するプローブの開発も行った。 励起周波数の粒径依存性の調査では、粒子サイズの異なる圧電効果を有するロッシェル塩結晶を準備し、励振周波数を掃引しながら、粒子サイズが異なる結晶からの圧電効果信号を取得し、その周波数を調べた。その結果、粒径が数mm程度の結晶では、数MHzの周波数領域において、結晶からの圧電効果信号を受信することができた。 覚せい剤の検出については、平成23年度に開発した不正薬物検知装置を財務省関税中央分析所に持ち込み、検出の可能性を評価した。 特に隠匿事例が多いスーツケースの二重底への隠匿について、実際に隠匿し、その検出試験を実施した。その結果、検出率100%と十分な性能を有することが分かった。 また、現在圧電効果を用いた圧電性結晶の検知技術に関する特許の出願を準備している。
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