研究課題/領域番号 |
23658024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
弦間 洋 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70094406)
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研究分担者 |
瀬古澤 由彦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90361310)
巨瀬 勝美 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60186690)
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キーワード | ニホンナシ / 萎縮症 / MRI / 水分生理 / 水ポテンシャル / 樹液流動 / 生体情報 / 非破壊検査 |
研究概要 |
ニホンナシで多発している萎縮症は、症状の早期発見と対策技術の確立が望まれている.そこで1)小型MRI装置で画像資料を入手した.その仕様は永久磁石、静磁場強度0.3T、ギャップ幅80mm、静磁場均一領域30mm、重量57kg.これをハンドリフトに搭載して、地上から160cm昇降可能とした.2)一方、生体情報としてSF-8 サップフローメータ(Daletown 社製)によって実際の樹液流動、さらに萎縮症発生枝・健全枝着生葉の水ポテンシャルの日変化をプレッシャーチャンバー法で計測した. その結果、MRIパラメータとして算出したT1・ADC・プロトン密度画像から、明らかに重度の萎縮症枝では、健全枝に劣る水分環境にあることが分かった.すなわち、T1緩和時間が600ms以上の動的水分プロトン分布が健全枝で認められ、高ADC値域も多く観察できた(図1).一方、枝内の樹液流は図2に示すような日変化を示した.ADC値の変化も‘幸水’枝内の水分生理が変化することとよく一致し、夜間は低位(2×10-5cm2/s)であるが、6:00以降上昇して12:00には5×10-5cm2/s となった.さらにステージ別の樹液流についてみると、枝葉の伸長時期には軽度の萎縮症発生枝と健全枝間に差異は認められなかったが、発芽期~リン片脱落期~展葉期には萎縮症枝で低位であり、水分通導機能に支障を生じていることが示唆された.このような成果から、高精度に検出できるステージの検討等が今後必要であるが、非破壊画像が入手できる小型モバイルMRIは、萎縮症発生の早期予測技術として有用できると思われる.
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