研究課題/領域番号 |
23659140
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
矢部 千尋 (西村 千尋) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70150571)
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研究分担者 |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60305571)
松野 邦晴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50420708)
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80533926)
張 嘉 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (50599222)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 不整脈 / チャネル / 活性酸素種 |
研究概要 |
循環器系のシグナル分子である活性酸素種 (ROS) は膜タンパクや細胞内分子に直接作用してその構造や機能を変化させることから、心筋イオンチャネルの活性を制御している可能性がある。NADPH オキシダーゼは生体内における ROS の主要産生源であり、その触媒サブユニット NOX のホモログとして非食細胞型の新規分子種 NOX1が発見された。今回我々は NOX1/NADPH オキシダーゼ由来の ROS が心筋イオンチャネルを制御しているという仮説をNox1 遺伝子欠損マウス(Nox1KO)を用いて検証することとした。平成23年度は心房細動誘発モデルとエンドトキシン (LPS) 投与による炎症性頻脈惹起モデルについて Nox1KO と同腹野生型マウス(WT)の表現型を比較した。さらに ex vivo で心虚血再灌流障害におけるROS 産生源としてのNOX1/NADPH オキシダーゼの役割について検討を行った。まず高速パルス刺激を行い誘発された心房細動の波形について Nox1KO とWTの比較を試みたが、心電図が安定して計測出来なかった。そこで本解析は連携研究者のもとで試みることとした。一方、LPS 投与による全身性炎症モデルで心拍数と血圧を tail-cuff 法により経時的に測定したところ、心拍数については両遺伝子型マウスに差異を認めなかったが、WTにおける血圧低下は Nox1KO にて有意に軽減していた。続いてマウスより摘出した心臓をランゲンドルフ装置により灌流した後、灌流を30分間完全に停止して全虚血を誘発した。左心室に挿入したバルーンを介し圧トランスデューサにより再灌流後60分間の心機能を測定し、灌流液中に漏出したクレアチンキナーゼ値を評価した。しかし両遺伝子型マウスに有意の差異を認めず、虚血再灌流に伴う心筋細胞傷害にはNOX1の関与は示されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心房細動誘発モデルについて心電図がうまく解析できず、連携研究者のもとで再検することとなった。次年度のチャネル解析の実験も引き続き連携研究者のもとで行うので別途、遺伝子組み換え動物のコロニーを樹立することとした。連携先の受け入れは凍結胚の状態である必要があったため、初年度計画の一部について開始が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている心房細動誘発モデルの解析と電気生理学的解析を連携研究者のもとで集中的に行うため、大学院生を1名、連携研究者のもとに国内留学させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費は当初計画より少なくなる見通しである。一方、動物の維持に関わる消耗品経費については増額の予定である。
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