研究課題
我々は最近、体内における ROS の主要産生源であるNADPH オキシダーゼの新規触媒サブユニット NOX1の遺伝子欠損マウス (Nox1KO) を用い、敗血症モデルにおいて心臓のNOX1の発現が誘導され、心筋細胞のアポトーシスに寄与することを見出した。敗血症の際に上室性不整脈が出現する機序として、心房筋活動電位幅の短縮が挙げられており、Ca2+チャネルやK+チャネルの機能変化が関与していることが示唆されている。そこで今回、NOX1/NADPHオキシダーゼ由来の ROS が心筋イオンチャネルを調節している可能性について検討した。WTマウスおよびNox1KOマウスに敗血症を誘発するためlipopolysaccahride:LPS を腹腔内に投与し、6時間後に電気生理学的検討を行なった。それぞれの実験群においてRR間隔、P波長、PR間隔、QS間隔につき有意差は認めなかったが、QT間隔については、WTマウスおよびNox1KOマウス群と比較して、LPSを投与したNox1KOマウス群で有意な延長が認められた。Langendorff灌流心において、心房有効不応期は、WTマウスおよびNox1KOマウスともにLPSを投与することによりむしろ有意に延長したが、どの実験群においても伝導時間に有意差は認めなかった。Langendorff灌流心における心房性不整脈の易誘発性は、LPS投与のWTマウス群、LPS非投与のNox1KOマウス群、LPS投与のNox1KOマウス群では LPS非投与のWTマウス群に比し、有意に低かった。
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http://www.f.kpu-m.ac.jp/doc/classes/basicmedicine/218.html