本研究では,多数の医療裁判例を統計学的に検討し,臨床現場のインフォームドコンセントにおいて重視すべき因子として応用が期待されるものを抽出した。これら結果に基づき,医療系学生を対象にインフォームドコンセントに関するアンケート調査を行ったところ,裁判例の結果に合致し,一般化可能と考えられた。 一例をあげると,未破裂動脈瘤の予防的治療治療のように,緊急度が高くない類型において,治療を見合わせる選択肢の提示が不十分であったために,適切に治療の諾否,その方法を選択できなかったと違反が認められやすく,その損害賠償も高額になりやすかった。
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