筋萎縮性側索硬化症 (ALS)の病因となるウイルスの探索を目指し、ALS脊髄に由来するRNAを用いた網羅的解析を目的に本研究を開始した。これまでに次世代シーケンサーで解析可能なcDNAライブラリーを構築するため、培養細胞を用いて予備実験を行った。ライブラリー作成にあたって、total RNAの大部分を占めるリボソームRNAを効率的に除去する手法の確立を行った。さらに、RNAIIIを用いてRNAをランダムに断片化し、ゲルに電気泳動後、100~200塩基の断片を分離した。その後、断片化したRNAの両端に異なるアダプターを付加し、方向性が認識できるようなったので、このRNAを用いてRT-PCRを行い、deep sequence可能なPCR産物を作製できるようになった。このため、本年度は、ALS剖検脊髄由来のRNAを抽出してcDNAライブラーの構築を目指した。しかしながら、予想以上にRNAの分解が進んでおり、質的に十分なレベルに達していなかった。新規の剖検サンプルを入手することが困難であることを念頭に、本RNAを用いてcDNAライブラリーの構築を進めた。現在、本ライブラリーのdeep sequenceを委託したところであるが、シーケンス可能かどうかは保障されていない。今後、シーケンスができた場合には、ヒトゲノムデータベースにある配列情報と比較し、完全に一致するものは除去する。次にヒトゲノムに一致しなかったシーケンスデータの中から、既知のウイルス配列に合致または相同性のある配列がないかどうか、全く未知の配列がないかどうかを検索する。
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