研究概要 |
(1)BtkによるROS産生制御機構の解析:Btk欠損によるROS産生亢進について、細菌菌体成分、オプソニン化細菌、FcgR抗体などの刺激系で検証を加えた。前二者では明らかなROS産生の亢進を認めた。FcgR刺激については32.2, IV.3, 3G8(それぞれFcgRI, II, IIIに対する抗体)を産生するハイブリドーマから抗体を精製し、F(ab2)’分画として、刺激実験を開始した。本年度は野生型、膜移行型、細胞質滞在型Malのコンストラクトを作成し、組換えタンパク発現の至適化実験から、100mgレベルのタンパク作成が可能になった。これを用いMalの局在によるROS産生制御や、会合分子を探る実験を開始した。 (2)非特異的アレルギー反応におけるBtkの関与についての検討:Btk欠損患者末梢血あるいは骨髄からCD161陽性細胞を単離し、SCF, IL-6などでマスト細胞を分化させ、採取した。得られたマスト細胞にFceR刺激を加え脱顆粒やキマーゼ、トリプターゼ産生系を立ち上げた。 (3)ItkのT細胞生存・アポトーシスにおける役割の検討:T細胞からのROS産生はluminol法で解析可能であることを明らかにし、アポトーシスへもCaspase3断片 の測定やAnnexin V検出で可能となったが、ITKの十分なknock downには成功していない。発現低下手法が確立すれば、ItkのNADPHオキシダーゼ活性への関与、アポトーシスへの関与が解析可能な段階となった。 (4)Btk欠損症の新規治療確立に向けた検討:細胞質滞在型MalのBtk欠損好中球への導入により過剰なROS産生が制御可能となった。NOG-SCIDマウスへのBtk欠損骨髄生着実験は未だ半ばであるが今後、リコピンやNAC(抗酸化薬)やMalの制御による解析の下地が整った。
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