研究課題/領域番号 |
23659752
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
羽渕 友則 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00293861)
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研究分担者 |
大山 力 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80282135)
三股 浩光 大分大学, 医学部, 教授 (60219714)
成田 伸太郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40396552)
南條 博 秋田大学, 医学部, 准教授 (70250892)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Xp転座型腎癌 / 腎細胞癌 / 紡錘型腎癌 / 分子標的薬 |
研究概要 |
腎細胞癌の淡明細胞型、乳頭状などの一般的な病理組織型をもつ腎細胞癌の遺伝的異常、分子病態については多くの知見が得られてきており、淡明細胞型ではVEGF、AKT-mTOR経路などを標的とする分子標的薬が臨床応用されるに至っている。また乳頭状についてもcMETを標的とした治療薬が治験段階である。いっぽう、近年、ようやく認知されつつある若年者にしばしば見られるXp転座型腎癌や極めて予後不良の紡錘細胞癌(肉腫様癌)の分子病態はいまだ不明な点が多く、標的分子は未知である。 本研究は腎癌の中でも希少であるが若年や予後不良などの特徴を有する社会的インパクトの大きいXp転座型、紡錘細胞癌の臨床病理データを多施設より集計し、病理病態を解明するとともに、wholeゲノムレベルの解析を進め、病態解析とともに治療標的分子同定を試みる。Xp転座型に関しては多施設研究として、症例を集め、1987年7月から2009年12月までに、手術または生検を行ったRCCの症例で組織標本が入手可能であった280例に対してTFE3抗体(Santa Cruz sc5958)を用いてパラフィン包埋された組織切片よりIHCを行い12例(4.3%)の陽性例を見出しており、またTFE3遺伝子の5´―と3´-のFISH用プローブを同定し、TFE3 split fluorescence in situ hybridization assay (split-FISH)を確立し、TFE3陽性の多くの例にXp11.2転座があることを確認した。現在、症例をさらに追加して免疫染色とFISHの両方をおこない、臨床情報や分子標的薬の反応性を解析している。また一部の確定例についてはWhole Exon Sequenceを行い標的となる変異同定を試みている。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Xp転座型に関してはすでに我々は多施設研究として、症例を集めつつあり、また、私たちは、既に1987年7月から2009年12月までに、手術または生検を行ったRCCの症例で組織標本が入手可能であった280例に対してTFE3抗体(Santa Cruz sc5958)を用いてパラフィン包埋された組織切片よりIHCを行い12例(4.3%)の陽性例を見出しており、またTFE3遺伝子の5´―と3´-のFISH用プローブを同定し、TFE3 split fluorescence in situ hybridization assay (split-FISH)を確立し、TFE3陽性の多くの例にXp11.2転座があることを確認している。今後も免疫染色とFISHの解析を進めるともに、現在whole exon sequencingを数例に試みるための組織準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
他施設の検体をさらに追加し、(1):TFE3抗体(Santa Cruz sc5958)を用いてパラフィン包埋された組織切片よりIHCを行う。(2):陽性例に関しては、TFE3 split fluorescence in situ hybridization assay (split-FISH)にて転座を確認する。(3):(1)と(2)で確定された症例の臨床像を解析し、既存治療の反応性や予後を解析する。(4):Xp転座が確実な例から腫瘍DNAと血液DNAを抽出し、whole exon sequneceを試みる。あらたなdriver mutationを含めた分子標的の可能性のある異常を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
FISHのプローベ作成と実際のFISHに費用を使用。またwhole exon sequneceに多大な費用がかかる可能性があるので、23年の研究費の一部は24年度に使用予定とした。その他、免疫染色のキットや抗体等に研究費を使用予定である。
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