平成26年度は、まず本研究で使用する臨床看護師のコンピテンシーを評価する質問紙を国内の看護大学教育に携わる研究者、臨床経験の豊富な看護師等らの協力を得て妥当性を評価した上で完成させた。また、本研究の中心概念である自己超越性については、以前の研究結果や本研究対象者の年代を考慮し、適切な尺度項目を検討・追加し、完成させることができた。本研究の理論的枠組みについても、国内外の研究者と意見交換を行った上で、概念の整理及びそれに伴う質問紙の精選を行い、所属施設の倫理審査に申請した。
所属施設の研究倫理審査委員会から承認を得た後、病床数300床以上の病院から調査協力を得て、臨床経験1年目から6年目の看護師(新卒から臨床経験5年間ある看護師)を対象に調査を行った。概念の整理や質問紙の精選に伴い、本研究のための調査項目が増え、研究対象者への時間的な負担の増大やそれに伴う回答率の減少が予想されたため、倫理審査委員からの勧めもあり、当初予定していなかったが、研究参加者へ謝礼(ボールペン)をつけることとした。説明書も含む調査票や返信用封筒の準備及び封入作業については、補助員を雇用し対応した。また、質問項目が増えたことで、データ入力に時間がかかることも予見されたため、データ入力と簡単な統計分析のための補助員も雇用した。
本研究の結果については、まだ分析途中ではあるが、自己超越性が看護師のウェルビーイングに中程度以上の相関関係があることが明らかになり、また、個人的な因子として規定したいくつかの概念と自己超越性についても、中程度以上の相関関係があることが明らかになっている。また、新卒から臨床経験6年目の看護師におけるアイデンティティの確立の傾向についても示唆を得られた。研究成果の発表は平成26年度中にはできなかったが、今後、結果をまとめ国内外へ論文として発表していく予定である。
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