本研究の目的は、①明治から昭和初期にかけての妊産婦の食事を通して、乳児の食についての考えを知ること、②現在、販売されている離乳食の製品の実態、③将来子どもをもつことで経験すると考えられる若者の離乳に対する意識、さらに、④乳児の離乳に関する母親の意識を明らかにすることである。①は、昭和初期に聞き取り調査を行い文献集として編纂された「日本産育習俗資料集成」(第一法規出版)から、食に関する記述を抜き出しデータベースとし、その内容を分析した。そこから先人たちの乳児の食や離乳に関する考えを考察した。その結果、妊娠中に母親が摂取する食物は、直接的に胎児の健康に影響し、さらに、出産後も子どもの成長に影響すると考えられていたことが理解された。また、実際に昭和初期から平成にかけて、子育てをした母親を対象とし、三世代間にわたっての離乳食への考えや実際についてインタビュー調査を行い、幼児の離乳食に対する捉え方の変遷を明らかにできた。②は、実際にどのような離乳食が市販されているのか、また、その種類・調理法・カロリー、製品の謳い文句等を明らかにすることである。インターネットで販売されているカタログから、約600種類ほどの製品が販売され、商品の多くは、食の安全、品質、製品の特徴などが、母親への情報として提供されていた。③は、若者の離乳食についての考えを知ることである。栄養学あるいは看護学を専攻している学生を対象とし、平成25年度にアンケート調査を実施した。結果は、食に対する安全を重視し、生活の中に市販の離乳食を取り入れていくという意識があった。
|