ヒトならではの高度な社会性の解明に向けて、ヒトが円滑な社会生活 を送るために重要な向社会行動と共感の神経基盤を明らかにすることを目的として、fMRI を用 いた実験的研究を推進した。実験の結果、他者が喜ぶことを予期しそれに共感するという共感 的喜びが報酬系の活動として表象され、かつ、向社会行動に重要なことを示した(Kawamichi et al., 2013)。さらに、共感的痛みを感じる際に、親密者と手をつなぐ親和的行動により報酬系 が賦活することも示した。まとめると、共感は向社会的行動の動因となるとともに、親和的行 動は共感的痛みに影響を与える可能性を示唆する。
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