本申請研究では、初代培養腫瘍血管内皮細胞を標的としてDNAアプタマーの単離を試み12回のセレクションとさらに正常血管内皮細胞および腫瘍実質細胞を用いてカウンターセレクションを行い、AraHHOO1アプタマーを得ることができた。AraHHOO1アプタマーは腫瘍血管内皮細胞に対して44nMの解離定数を示すこと、蛍光標識AraHHOO1は腫瘍血管内皮細胞において、エンドソームとの共局在を示すこと、AraHHOO1は脈管形成を阻害することを明らかにした。さらにAraHHOO1アプタマーが結合するタンパク質を探索し、それがTroponinTタンパク質であることが明らかになった。TroponinTはこれまで腫瘍血管内皮細胞に発現しているとは考えられておらず、AraHHOO1アプタマーをの脂質コンジュゲートを合成し、それをリボソームに組み込んだAraHHOO1リボソームは通常のリボソームと比較して3.5倍強く腫瘍血管内皮細胞へ結合することが明らかになった。
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