研究課題/領域番号 |
23700715
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研究機関 | 上武大学 |
研究代表者 |
井田 博史 上武大学, 商学部, 講師 (20392194)
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キーワード | 知覚―動作カップリング / 3D呈示 / 実在感 / 両眼視差 / ヴァーチャル環境 / CAVE / 捕捉行動 / 動作解析 |
研究概要 |
本研究課題では,ヴァーチャル環境(VE)の3D呈示が使用者に与える実在感について,捕捉行動における動作の分析から明らかにすることを主目的とし,また使用する没入型VE装置(CAVE)の利点・不利点の検証を副目的として掲げている.この目的に向けて,段階的に3つの到達目標(目標①:CAVEにおける刺激呈示系および動作計測系の構築,目標②:3D呈示と2D呈示の映像呈示実験とデータ解析,目標③:参照用の実空間実験とデータ解析)が設定された.第2年度(平成24年度)は,当初,目標②の後半部として実験データの解析および結果のまとめが計画されていたが,初年度の進捗に変更があったため,到達目標を一部変更した. 平成23年度から持ち越された,目標①の一部である動作計測系の構築については,平成24年度に完了しその後被験者を対象とした追加実験を実施した.これにより,単なる捕球成功率によるパフォーマンスデータのみならず,新たに動作データも解析対象として加えられ,3D呈示が動作制御に与える効果をより直接的に検討することが可能となった. また,目標②および③に関して,平成23年度に前倒しして実施された捕球パフォーマンス実験については,それまでの結果をまとめ,平成24年度から成果公開を進めてきた.ここでは,3D呈示の方が2D呈示より捕球パフォーマンスを向上させることが示唆されており,今後の動作パターンの解析へ繋がるデータが得られている.一方で,CAVEにおける捕球シミュレーションシステム構築に関する方法論的検証を行い,実験環境としての信頼性および妥当性についても議論を展開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況は概ね順調である.平成24年度に持ち越された「目標①:CAVEにおける刺激呈示系および動作計測系の構築」に関しては,同年度内に順調に達成され,さらに被験者実験も実施した.また,目標②:3D呈示と2D呈示の映像呈示実験とデータ解析」および「目標③:参照用の実空間実験とデータ解析」に関しては,平成23年度に一部前倒しして実施された実験の結果を,平成24年度から成果公開に着手した.動作データについては引き続き解析を進めていく必要があるが,パフォーマンスデータからは本研究課題の仮説に対して肯定的な結果が得られており,その意味でも概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
「目標②:3D呈示と2D呈示の映像呈示実験とデータ解析」については,収集した動作データの解析を進め,すでに得られている捕球成功率によるパフォーマンスデータの結果と照合し,呈示条件による動作制御への影響についてより詳細な検討を行う.また「目標③:参照用の実空間実験とデータ解析」においても同様に動作パターンの解析を進め,目標②とあわせて,これまでの議論を補強するため解析項目の充実を図る.これらの結果は,平成24年度に先行して公開してきたデータに追加する形で,より包括的に成果公開を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度未使用分に関しては,主に,動作データの解析を遂行するために必要となるコンピュータ,ソフトウェア,および周辺装置の物品費に充てる.加えて,捕球シミュレーションシステムの特性を評価するための小額機材・資材類についても物品費から支出する.平成25年度請求予定の,旅費,人件費・謝金,その他の各費目別研究費は,概ね当初の予定通り使用する見込みである.当該年度の支出は主に成果公開用の費用として計上されており,中でも学会発表などを見据えて特に旅費に多く配分されているが,論文投稿などによる成果公開も同時進行させるため,適宜物品費もしくはその他への再配分が見込まれる.
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